毎日トレーニングに励んでいるアスリートのあなた、アスリート向けの食事を摂っていますか?
どのスポーツにおいても体は資本です。
資本の体を効果的に作るには、練習や運動だけでなく食事にも目をむけることが重要です。
とは言っても、アスリートのあなたにとって、トレーニングの方法は専門分野ですが、食事の管理や栄養の把握は専門外で難しそうですよね。
アスリートには、普通の人と違う食事が必要なのでしょうか?
いいえ、アスリートも普通の食事の中で適した食事を選ぶ、適した栄養素や食材を取り入れるなど工夫して食事をすれば大丈夫です。
ただし、正しい食事や栄養素を取り入れなければ、トレーニングの効果が出にくくなります。
この記事ではトレーニング前後の食事の取り入れ方がわからないアスリート初心者にも、わかりやすいように運動と食事の関係を解説します。
アスリートだけでなく、自己管理を目指している方、今まで食事など気にかけたことのない方もこの記事を読めば、きっと運動と食事の関係が大切だと気づきますよ!
トレーニングに合わせた食事を取り入れて、効果的に体を作りましょう!
ぜひ、最後までお読みください。
- トレーニングの時期と種類
- トレーニングに合わせた栄養素とカロリー
- トレーニングに合わせた食事のアドバイス
アスリートのトレーニングの種類と食事の関係
パフォーマンスを大きく左右するアスリートの体を作るのは、様々な運動です。
この運動の前後に適した食事をとることでトレーニングの効果が大きく向上するのです。
トレーニングと一言で言っても、筋力をつける、筋肉の質を変える、体力をつけると様々な種類があります。
また、アスリートの活動には、通常の練習時期のほかに、試合前の時期、試合後のリカバリー期と、大きく分けて3つの時期があります。
以下の図に、各時期ごとのトレーニングの種類と必要な栄養素やアドバイスをまとめました。
この記事では、図に沿って、時期ごとのトレーニングの種類、各トレーニングに必要な栄養素の関係などを解説します。
アスリートのトレーニングの時期と種類
まずは、アスリートの時期と各時期ごとの運動の種類を見ていきましょう。
アスリートには、通常の練習の時期のほかに、試合前の時期、試合後のリカバリー期と、大きく分けて3つの時期があります。
そして、時期ごとに必要なトレーニングがあります。
順番に見ていきましょう。
通常のトレーニング(通常の練習の時期)
通常の練習の時期のトレーニングは大きく分けて以下の2種類です。
- フィジカルトレーニング
- 体幹トレーニング
1つずつ解説します。
■フィジカルトレーニング
フィジカルトレーニングとは、体能力の維持、強化や健康保持などを目的とした肉体的な運動を意味し、以下の3つの運動に分けられます。
- 有酸素運動 (ランニングやスイミングなど)
- 無酸素運動 (筋トレなど)
- ストレッチ (柔軟運動など)
有酸素運動は余分な脂肪の燃焼や心肺機能の向上のためにおこなわれる運動です。
また、無酸素運動は、瞬発的な筋肉を鍛えます。
ストレッチには、筋肉を傷めないように運動前におこなうもの、疲労した筋肉が萎縮しないようにおこなうもの、柔軟性を高めるものなど様々な種類があります。
このフィジカルトレーニングの3種類においては、筋肉に作用を及ぼすことから、筋肉を作る、修復するといった栄養素が必要です。
■体幹トレーニング
体幹とは腕と足、首から上を除いた部分で、この部位の大きな筋肉から小さな筋肉まで鍛える運動を体幹トレーニングといいます。
体幹トレーニングにはインナーマッスルを鍛えて、体のバランスを整え、体の可動域を広げる効果があり、姿勢の向上やけがの予防や改善に効果があります。
体幹トレーニングは筋トレと共通点が多く、必要な栄養素も同じ栄養素です。
試合前のコンディショニング(試合前の時期)
試合前のアスリートには、ベストなパフォーマンスのための試合前に特化した運動が必要です。
種目によっては減量が必要な場合や、増量が必要な場合もあります。
■減量が必要な場合のトレーニング
減量には体脂肪を燃焼させる運動と、代謝を高めるための筋力アップの運動が必要です。
減量時にはカロリー調整が必要なため、代謝を下げないような栄養素が必要になります。
■増量が必要な場合のトレーニング
試合前の増量では、体重を増やすだけでなく、筋肉量も増やすことが大切です。
筋肥大させるためにも負荷のかかる筋トレが必要になります。
この場合は筋肉に負担がかかるため筋肉に作用する栄養素が必要です。
リカバリー期
リカバリー期とはアスリートの体を回復させる時間です。
アスリートのトレーニングでは、時には限界まで体を追い込むような運動をおこなう場合もあります。
体の疲弊が激しい運動には、リカバリーのほか、休息と食事が重要です。
体の疲労を蓄積させないためのリカバリーの具体的な方法としては、以下のようなものがあります。
- ストレッチをおこなう
- 水分をしっかり摂取する
- 体をゆっくり休めて安静状態にする
- 安静後に入浴などで血流を高めて、老廃物を取り除く
リカバリーをしっかりとおこなうことは、パフォーマンスの向上につながります。
リカバリー期には、疲労を回復する栄養素や筋肉を修復する栄養素が必要です。
トレーニングに合わせた栄養素とカロリー
次に、運動に合わせて必要とされる栄養素とカロリーについて解説します。
ここで、もう一度トレーニングの種類と必要な栄養素の関係図を見てみましょう。
アスリートには、「トレーニングに合わせた栄養素」と人が活動するための「五大栄養素」を摂取する必要があります。
順番に解説します。
トレーニングに合わせた栄養素
まずは、運動に合わせて必要とされる栄養素について、運動ごとに分けて述べます。
■通常のトレーニング(通常の練習の時期)
通常の練習の時期では、フィジカルトレーニングや体幹トレーニングをおこないます。
持久力やスタミナを上げるための練習や運動は体を疲れさせるので、疲労回復の作用がある栄養素を含んだ食事が必要です。
フィジカルトレーニングの中でも筋トレの場合は、タンパク質からできている筋肉をエネルギー不足にすると、せっかく行った筋トレの効果がでません。
そこで、以下に示すような栄養素が必要になります。
- 疲労回復のためのアミノ酸
- 筋肉を修復するタンパク質
- タンパク質を分解させないための炭水化物
■試合前コンディショニング
アスリートには、競技によっては試合前に減量や増量を必要とする場合があります。
減量時には、「高たんぱく、低カロリー」のものを摂取すると言いますが、これは摂取カロリーを極端に下げるという意味ではありません。
消費カロリーより摂取カロリーを低くして、筋肉を維持するためにタンパク質を多く摂りましょう。
一方増量は、筋肉量がポイントです。
種目ごとに必要な部位を鍛える際の食事に必要なのは、タンパク質と炭水化物になります。
試合前の減量や増量を含むコンディショニングで必要な栄養素と気を付けたいポイントは以下の通りです。
- 減量時も増量時もタンパク質が必要
- 減量時は摂取カロリーに注意する
- 増量時は炭水化物も必要
■リカバリー
リカバリーの際に必要なものは、疲労を回復する栄養素や筋肉を修復する栄養素で、体の疲労回復には、タンパク質を構成するアミノ酸が重要です。
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち11種類のアミノ酸は体内で合成され、補えますが、残り9種類は合成できないので食事から摂らなければなりません。
また、筋肉を直接修復するタンパク質やエネルギーになる炭水化物、筋肉の痙攣などを緩和するミネラル類も必要です。
リカバリーの際に必要な栄養素と気を付けたいポイントは以下の通りです。
- アミノ酸を補うためにタンパク質を摂取する
- エネルギー源の炭水化物を摂取する
- 疲労回復のためにミネラルを摂取する
もちろん、人が活動するための「五大栄養素」も必要です。
五大栄養素
人が生きていく上で必要とされる五大栄養素は以下の通りです。
- 炭水化物
- 脂質
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
アスリートには、これら栄養素をバランスよくしっかりとった上で、運動に合わせた栄養素をとることが必要になります。
また、トレーニングの効果を上げるためには、合った栄養素を摂取するとともに、必要なカロリーをとることも重要です。
必要摂取カロリー
以下に厚生労働省が2020年に発表した「日本人の食事摂取基準」体活動レベル3より抜粋したカロリーを示します。
なお、体活動レベルとは、運動量の指標であり、1~3の3段階で分けられています。
「体活動レベル3」は、最も運動量が多いカテゴリーです。
18~29歳 男性 | 3,050キロカロリー |
18~29歳 女性 | 2,300キロカロリー |
アスリートは運動量が多く、筋肉が多いためエネルギーの代謝効率が高い傾向にあります。
基本のカロリーを把握して、確実に摂取しましょう。
また、運動量に応じて調整することも必要です。
食事は三食を基本として、運動量に応じた調整には補食をプラスすることがおすすめです。
次にトレーニングに合わせた食事に関する具体的なアドバイスについて解説します。
トレーニングに合わせた食事の具体的なアドバイス
これまで述べたように、アスリートのトレーニングは、通常練習と試合前の準備としておこなうものは違ってきます。
また、スタミナをつける場合、筋力をつける場合、減量あるいは増量が必要な場合と目的も様々です。
そのため、運動の時期や目的にあった栄養素を取り入れることが大切です。
それでは、目的に合わせた食事の具体的なアドバイスを紹介します。
通常のトレーニング時の食事の注意
持久力やスタミナを上げるためのトレーニングには、疲労回復効果のある栄養素を含んだ食事が必要です。
また、筋肉をつけるトレーニングには、タンパク質とともにエネルギーとなる五大栄養素をしっかり補える食事が適しています。
ただし、栄養素を摂ればいいというわけではなく、食べるタイミングが大切です。
これらに適した栄養素は、トレーニング後30分以内にとると良いと言われています。
しかし、30分で自分で食事を用意するのは大変ですよね?
そこで、簡単にとれる食事を一覧にしました。
タンパク質 | 豆乳 | チーズ | サラダチキン | プロテイン |
炭水化物 | おにぎり | バナナ | 麺類 | 干し芋 |
ミネラル | 牛乳 | ナッツ | 梅干し | スポーツドリンク |
アミノ酸 | サプリメント |
この表を参考にして、30分以内に必要な栄養素を取り入れましょう。
減量を伴うトレーニングの時の食事の注意点
競技の種類によっては試合前に減量を必要とする場合があります。
このとき、過度に食事を摂らない減量方法は、初心者アスリートにとっては非常に危険です。
食事を極端に減らすことなく摂取カロリーを抑えるには、いつもの食事の中で、調理方法や食材を変えましょう。
気を付けるポイントは以下の通りです。
- 揚げ物を避けて、油を少量にした炒め物や蒸し物にする
- バターやマヨネーズ、油の多いドレッシングは使わない
- 脂質の多い肉(牛豚のバラ肉やひき肉・ベーコンなど加工品)を食べない
- ビタミンやミネラルを取り入れる(果物やヨーグルトなど)
- お酒やジュースは控える
- 炭水化物は抜かずに、少し減らしてみる
この6つのポイントを守るだけで、普段の食事でもカロリーを適度に抑えながら、無理のない減量ができます。
増量を伴うトレーニングの時の食事の注意点
競技によっては増量が必要な場合もあります。
この場合が、やみくもに増量を図るのではなく、必要な筋肉を増やして増量しましょう。
そのためには、トレーニングしながらの増量が必要で、消費したカロリーや栄養素を補い、かつプラスαを摂取する必要があります。
栄養素やカロリーを見直すことで筋肉のつき方に差が出てきますよ。
筋肉増量に必要な栄養素はタンパク質と炭水化物です。
タンパク質をとるタイミングは、運動後30分以内がよいと言われています。
これは、運動後30分間は分解されたタンパク質の再合成が行われるためで、この間に食べたタンパク質も筋肉になるためです。
そのため、この時間は筋力アップのゴールデンタイムと呼ばれています。
炭水化物は、作った筋肉を無駄に消費しないためにも重要です。
人間の体は、エネルギー不足になると筋肉を分解してエネルギーを作ろうとします。
つまり、炭水化物でエネルギーを補わないと、せっかくついた筋肉が減ってしまうことになります。
リカバリーが必要な時の食事
筋肉を鍛えた後のリカバリーには、筋肉を修復する栄養素が必要です。
リカバリー期に必要な栄養素を摂取する食材としては、以下のようなものがあります。
タンパク質を含む肉類や魚類、納豆などの豆類 |
エネルギーになる炭水化物を含むご飯や麺類、パン類 |
筋肉の痙攣などに効くミネラルを含む海藻類 |
疲労の回復にはタンパク質を構成するアミノ酸の摂取も有効です。
先程も述べたように、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち9種類は食事からとる必要があります。
このようなアミノ酸が多く含まれている食材には以下のようなものがあります。
- 鶏肉
- チーズ
- 牛乳
- レバー
運動に合わせた食事のアドバイスをしてきましたが、基本は、主食・副菜・主菜・牛乳や乳製品・果物の食事バランスを意識して食事をすることです。
その上で、このアドバイスを生かした食事をしましょう。
三食以外で必要な栄養素やカロリーを摂取する方法
ここまで、練習や運動の時期や目的によって必要な栄養素やカロリーが異なることを述べてきました。
アスリートの食生活では、三食をきちんと食べることが重要です。
しかし、極端にカロリーを使うトレーニングの後や、筋肉を限界まで疲れさせた場合や、早急にカロリーを摂りたいときなどは補食で補うことをおすすめします。
タンパク質を含む食事はどの場面でも必要です。
ただし、速やかに疲労を回復させるためにはプロテインやサプリメントなどで補食しましょう。
食事以外の補食について
アスリートのトレーニングで失われた栄養素を補充するには、食事から摂取するのが最良の方法です。
しかし、食事のタイミングなどを考慮して、練習や運動中にも栄養素を補充する必要があります。
そのような時に便利なスポーツフードなどを使った補食も覚えておきましょう。
補食に適したものとしては、以下のようなものが挙げられます。
プロテイン |
スポーツドリンク |
スポーツバー |
スポーツゼリー |
電解質サプリメント |
エナジードリンク |
ただし、アンチ・ドーピング規程に則った試合などに出場する場合は、規則に違反していないか確認してから摂取しましょう。
【まとめ】アスリートのトレーニングと食事の関係には鉄則がある!
アスリートのトレーニングと食事の関係について紹介してきました。
もう一度確認してみましょう。
- トレーニングには時期と種類がある
- トレーニングの種類によって必要な栄養素がある
- トレーニングに応じた食事には注意点がある
- 三食で補えない栄養素は補食で補う
最高のパフォーマンスを目指して毎日トレーニングを頑張っているあなた。
トレーニングと食事の関係には、「トレーニングごとに必要な栄養素が決まっている」という鉄則があります。
トレーニングの効果を出すためには、主食・副菜・主菜・牛乳や乳製品・果物をバランスよく取り入れた食事に、トレーニングによって失われる栄養素を足してあげましょう。
それだけで、体は格段に向上します!
あなたが、トレーニングと食事で目指す体を手に入れ、最高のパフォーマンスを発揮されることを願っております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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