最近、永年お世話になっていたお寺との付き合いをやめたいと考えている人が増えていると聞きました。
離檀(りだん)とは、
菩提寺(先祖代々のお墓のあるお寺)の檀家をやめることです。
檀家をやめるという事は、それまでの菩提寺とのつながりがなくなるので、葬式・法事どころか、先祖代々が眠る「墓じまい」まで考えなければなりません。
離檀する場合、お寺や親族関係とよく話し合うことが必要になってきますが、人が集まればそれだけの数の意見がありトラブルも発生します。
突然親戚関係から電話があって、両親もどうしてよいかわからず右往左往しています。今は核家族化が進んでいて、「お寺と離檀」と聞いてもよくわからないですね。
毎日親戚から電話がかかってくるようで、正直言って早くこの話が解決してほしいです…
いつもお寺で顔を合わせている住職さんであれば離檀の件を直接お話しできるかもしれませんが、遠方などで疎遠であれば手段は電話・手紙になります。
「お寺への手紙」はそれだけでも敷居が高く感じられますね。
でも円満に離檀できれば、離檀料の金額にも関係するかもしれません。
スムーズに尚且つ円満にトラブルを回避して離檀できるその手段のひとつとして、お寺への手紙例文を示しました。
あなたや家族が早く普段の生活に戻ることが1番の目的ですが、大切なことは永年お世話になった菩提寺に、心から感謝を込めたお別れの手紙を書くということです。
どうぞ最後までお読みください。
離檀をする前に抑えておく大切なポイントと流れ
いきなり離檀と言われても、いったい何から準備をしたらいいの?と思いますよね。
この段落では大切なポイントを抑えていきましょう。
最近増えている離檀の理由
【離檀の理由】
・後継者がいない
・菩提寺を経済的にサポートする余裕がない
・墓が遠方でなかなか行けない
理由はそれぞれですが、離檀は先祖代々の檀家をやめることです。
個人または一家庭の事情・感情では判断をしてはいけません。
まずは離檀する前に、家族や主な親族と先祖の遺骨の行き先についてよく話し合わなければなりません。
<離檀後の選択肢>必ず親族同士で話し合いを
【離檀後の遺骨の選択肢】
・新しいお墓に移動する
・他の霊園の永代供養塔などの合祀(ごうし)
・自宅で保管する
・散骨する
・今までの寺院で永代供養塔などの合祀
離檀と墓じまいは、ほとんど同じ意味と思ってよいかもしれません。
菩提寺に伝える前に、まず親族関係とよく話し合い結果をひとつにし、檀家をやめることを含めて了承を得ておかなければなりません。
合祀(ごうし)とは、合葬(がっそう)とも呼ばれ、骨壺からご遺骨を取り出し、他人の遺骨とまとめて埋葬することを言います。
永代供養墓などは、この合祀による埋葬方法です。
一度合祀してしまうと、他人の遺骨と一緒になるので、後々親族とのトラブルになるケースもあるようです。
離檀する場合の流れ
さて次は、離檀する場合の典型的な流れを抑えておきましょう。
離檀から墓の撤去となるまでは、早くても2ヶ月~半年ほどかかるので、長い目で見ておく必要があります。
【離檀する場合の流れ】
家族・親族と話し合う(遺骨の行き先や離檀料)
↓
菩提寺に離檀の旨伝える(直接・電話・手紙のいずれかの方法で)
※改葬許可証が必要かを確認する
↓
菩提寺から埋蔵証明をもらう
↓
改葬許可証(自治体から発行)を菩提寺に提示する
↓
お墓の閉眼供養(魂抜き)をする
↓
墓石の撤去を頼む(石材店)
離檀と墓じまいは一連のながれで、一緒に行われるということになります。
先祖の遺骨の行き先が決まっていないと、自治体からの改葬許可が出ません。
新しい行き先の墓を早めに決めておかないと、離檀までの期間は増々長くなりますので注意してください。
離檀をスムーズ且つ円満に進めるコツとその手紙の例文
順番では離檀を親族関係で決めた後に、菩提寺のご住職にその旨を連絡します。
この一連の流れをスムーズにするポイントは、この菩提寺のご住職の離檀の了承をいかに円満に取るかということです。
離檀料の額にも、もしかしたら影響するかもしれませんね。
私は離檀する際に20万円かかると言われ、とてもびっくりしました!
離檀料の相場は、3~15万円、法要1回分のお布施として納める程度の金額が目安といわれていますが、墓じまいの魂抜きなどの法要と合わせると20万円ほどともいわれます。
その後の新しいお墓にご遺骨の移動や別のお寺で永代供養するとしても、また新たなお金が必要になりますので、なるべく出費は控えたいところです。
もちろんお寺によって離檀料不要という所もあるようですから、必ずご住職と確認しておきましょう。
離檀料は、「今までお世話になりました」とお寺に伝える手切れ金のようなものですね。
<相談する>という姿勢で
事後承諾として「離檀します」と連絡してしまうと、菩提寺とこじれるケースが多いようです。
今まで菩提寺を支えてきた檀家としての相談ごとを、打ち明けるところから始めるのがおススメです。
話し合いながら、住職さんと共に離檀への結論を出す流れに持っていきましょう。
謹啓
季語の頃 貴職におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
ご相談させて頂きましたように今後檀家をやめさせて頂きたく存じます
承知の通り祖父母がご縁で檀家とさせて頂きましたが現在お墓は別のお寺様の境内にあり今後はそのお寺様にご先祖の供養をして頂きたいと考えております
甚だ勝手なお願いで大変恐縮ですが私どもの意を汲んでいただければ幸いに存じます
末筆になりますがご住職のご健勝をご祈念いたしましてお願いとさせて頂きます
敬白
令和〇年〇月〇日
住所
名前
引用 岩見沢公益社
【お寺への手紙の書き方その1】
このページは横書きしか表示できませんが、絶対に縦書きで書くことをオススメします!
年賀状に句読点がNGと同様に、お寺への手紙にも句読点は付けません。
<後継者がいなくなる>その可能性を伝える
今の時代のお寺にとって悩ましいのが、誰も管理してくれなくなった無縁仏の増加です。
長い間誰もお墓参りに来なければ、ひび割れ等のメンテナンスがされませんし、連絡したくても代替わり後継者がいないなどで、年間管理費を支払ってもらうこともできなくなります。
更地にしたくても縁故者を探すことが菩提寺に課され、更地にする費用も負担になり、菩提寺にとって絶対避けたいことです。
拝啓
季語の頃 貴職におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます
長年にわたり〇〇家ご先祖をお守り頂き心より感謝申しげます
さてこの度 私どもの〇〇市の市営墓地にあったお墓を墓じまいし近隣の室内霊園で永代供養をして頂くこととなりました
今後は当方でお参りしていきますので供養につきましてはご辞退させて頂きたく存じます
改めて今までご供養されてきたことに対して心より御礼申し上げます
末筆ではございますがご住職のご健勝をご祈念し 改葬並びに供養ご辞退のご依頼とさせて頂きます
敬具
令和〇年〇月
住所
〇〇〇〇
引用 岩見沢公益社
永代供養になる理由「自分はお墓参りに行けないし、お墓を継ぐ人もいない、このままでは無縁仏になる」という旨を付け足してもよいでしょう。
【お寺への手紙の書き方その2】
封書でのお寺への宛名の書き方(縦書きで)
〇〇寺 住職 〇〇様
※ご住職のお名前がわからない場合…〇〇寺御中
<永年の感謝>を心から伝える
菩提寺は、先祖代々のお墓を守ってきてくれた大切な存在であり、どんなに感謝してもしつくせません。
先祖代々のお墓を永年管理してもらっていたことを思い、心からの感謝を伝えましょう。
謹啓
時下 貴職におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申しあげます
長年にわたり 〇〇家菩提寺としてご先祖様をお守りいただきまして心より御礼申し上げます
このたび 転居に伴い近隣の霊園で永代供養をして頂くこととなりました
末筆ではございますが ご住職のご健勝をご祈念し改葬のご報告とさせて頂きます
謹白
平成〇年〇月〇日
引用 小さなお葬式
葬儀には駆けつけ、戒名をつけてくれ、遺族を慰めてくれたりと永年檀家である私たちを支え続けてきてくれたことを加えるとなおよいでしょう。
【お寺への手紙の書き方その3】
「拝啓」と「敬具」「敬白」は文頭と文末にセットで使用です。
「謹啓」と「謹白」は、もっと丁寧な組み合わせです。
白い無地の封筒と便箋に、繰り返しますが縦書きで書いてくださいね。
トラブル急増!【離檀をスムーズ・円満に】手紙の書き方と例文集・まとめ
わたしも数か月前に、母から離檀のことで相談の電話を受けました。
母の実家の墓じまいですので私には直接は関係なかったのですが、親族関係、人が増えると色々な考え方があり解決するまで大変でした。
スムーズな離檀の第一歩は、その親戚関係の離檀への意見をひとつにまとめることです。
そして墓じまいをどうするかも大変ですが、離檀料という出費も頭の痛い問題です。
その後のお寺とのやりとりがうまくいくか否かで、支払う金額も変わってくる可能性があります。
スムーズに尚且つ円満に離檀し、あなたや家族が早く普段の生活に戻ることができるその手段のひとつとしてのお寺への手紙例文を示しました。
あなたの先祖代々からのお世話になりつながりのあった菩提寺に、感謝を込めたお別れの手紙が書けるように祈っております。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
また遠方でのお葬式へのお香典の書き方を知りたい方は、こちらにご紹介しておきます。
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