植物に痛覚はあるの?「痛み」を受けた植物の全身への伝え方とは?

植物は痛覚、「痛み」を感じるのかと疑問に思ったことはありませんか?

私たちヒトや動物は、以下の仕組みで「痛み」を認識します。

外傷 → 神経 → 脳 → 痛み

その点、植物は神経や脳を持っていないので「痛み」を感じることはありません

しかし近年の研究により、植物にも似たような反応があることがわかってきました。

この記事では、以下の疑問を丁寧に掘り下げて行きます。

  • 植物は危害を受けると、どのような反応があるのか?
  • 危害を受けても本当に「痛み」を感じないのか?

詳しくご紹介していきますので、ぜひお読みください!

目次

植物は危害を受けるとどんな反応をするの?

冒頭で「植物は痛みを感じないが似たような反応をする」とお伝えしました。

では、植物は危害を受けるとどのように反応し、その反応はどのような仕組みで伝わるのしょうか?

植物が身の危険を感じたときの反応は?

植物は虫に葉を食べられ、身の危険を察知すると、以下の反応で抵抗します。

  • 植物内部で自分を食べている虫の天敵を呼び寄せようと物質を発する
  • 虫が嫌うような成分を生成する

興味深いことに、その反応が食べられた葉だけではなく、離れた場所でも起こるのです。

植物が身を守るワザとは?

ある雑草から素晴らしい能力の実験結果が出ました。

近年、埼玉大学の研究者グループが、植物の危険を知らせるシグナルの一部解明をして論文を発表したのです。

その研究者グループによると、実験に使われた植物は、シロイヌナズナという雑草です。

では、このシロイヌナズナの反応はどのようなものだったのでしょうか?

なんとアレが重要な働きをしていた⁈

実験で使われたシロイヌナズナは、虫に葉を食べられて傷つけられると、細胞からある物質を流出します。

そのある物質とはグルタミン酸です。

物に神経や脳はありませんが、グルタミン酸が植物における「神経伝達物質」のような役割をして、以下の1〜3の順で反応をします。

  1. グルタミン酸がグルタミン酸受動態結合される
  2. 細胞内でカルシウムイオンのシグナルが発生する
  3. 「師管」を通じて全身に伝わる

この3段階の反応により、グルタミン酸が植物全体に伝わる時間はわずか1、2分です。

そのわずか1、2分のうちに防衛反応をしているのですね。

「師管」とは?

師管は養分を通す管のことをいいます。

植物の構造では、外側に表皮があり、皮層と呼ばれる細胞層があり、内皮、その中に導管、師管があり、他には柔細胞が敷き詰められています。

みなさんの中でご存じの方も多いと思いますが、グルタミン酸とは調味料で知られている、うま味成分のグルタミン酸です。

この実験から、植物が危害を受けると、身を守ろうと反応してグルタミン酸を出すことがわかりました。

冒頭で植物に痛覚はないとお伝えしましたが、この反応を見ると、植物も「痛み」を感じているのでしょうか?

本当に「痛み」を感じているとするなら、命のとらえ方も変わってくるかもしれませんよね。

植物は本当に「痛み」を感じないの?

埼玉大学の研究グループの論文が発表されたとき、海外では「ヴィーガンはどうするのか」と話が盛り上がっていたのです。

それは「植物が『痛み』を感じるのなら殺生にあたるのでは?」という理由からです。

ここからは、論文の発表によるヴィーガンの反応を詳しく説明していきます。

私たちが生活する上で、以下の場面によく出くわすと思います。

  • 庭の手入れで草刈りをする
  • 家庭菜園で野菜を収穫する
  • 野菜を食べる

もし植物が「痛み」を感じるなら「これらの場面では殺生となるかもしれない」という論争ですね。

ヴィーガンは「野菜なら殺生にならない」という理由で野菜を食べてきました。

もし殺生ならば「これからは何を食べればいいのか」と困惑していたようですね。

ただし、ヒトや動物のような似た仕組みがあるからといって、本当に「痛み」を感じているのかはわかりません。

ここに「植物が本当に『痛み』を感じているのか」と植物学者のダニエル・チャモヴィッツ氏へインタビューした記事があります。

Q:つまり、私がお話をちゃんと理解しているとすると、植物は比喩的にではなく実際に感じることができる。しかし、植物は痛みを感じない。これで会っていますか?

A:植物は侵害受容器を持っていません。植物は圧受容器を持っていて、自分が接触された時や動かされた時にはそのことを知ることができます。植物は機械受容器という神経細胞を持っているのです。

Q:はっきりさせておきましょう。植物は自分が損傷されている時はそのことを知っているんですよね?

A:あなたは、明確に植物を殺すことができます。しかし、植物はそのことを気にしません。(You can definitely kill a plant,but it dosen’t care.)

引用:「植物は痛みを感じるか? 生物学者に訊いてみた。」道徳的動物日記

他にも、チャモヴィッツ氏は「生物的な現象であり、そこにスピリチュアルな要素は全くありません」とキッパリ。

「植物が『痛み』を感じる」というのは「私たち自身が事態を擬人化しているのです」とも述べています。

つまり、植物は接触されるのは感じますが、「痛み」を感じる仕組みがありません。

また、私たちは植物を殺しても、植物にはその恐怖がないということになります。

この実験により判明したのは、植物は傷つけられるとそれを感じるが、どういう仕組みで感じるのかということだけです。

そうなりますと、ヴィーガンに「植物も『痛み』を感じている」と批判するのは間違いですね。

ヴィーガンとは

人間による動物からの搾取を抗議して、動物性食品は一切食べない菜食主義者のこと。

ベジタリアンの人は肉や魚は食べないが、ヴィーガンは乳製品や卵、はちみつも口にしない。

植物に痛覚はあるの?「痛み」を伝えるメカニズムが明らかになった

葉に危害を受けるとどのような反応が起こるか、植物に痛覚はあるのか紹介してきました。

今回の記事のまとめは以下のとおりです。

  • 植物は危害を受けると、身を守る反応を起こす。
  • 神経伝達物質に似たものが植物の防衛反応を促している。
  • 植物は「痛み」を感じないので、ヴィーガンは今まで通りの食生活で良い。

この研究をした埼玉大学の研究チームは、研究の結果を踏まえ、新しいタイプの農薬開発を考えているそうですよ。

もし農薬が開発されれば、グルタミン酸受動態を活用できれば植物の抵抗性が上がり、うまみが増しておいしい野菜ができるかもしれませんね。

植物が葉を食べられて本当に「痛み」を感じているかはわかりません。

でも、個人的には、「痛み」を感じて欲しくないですね。

家庭菜園で野菜の収穫したり、お花屋さんで切り花を買うのがつらくなると思うんです。

今回は植物のあまり知られないところがわかり、また新しい目線で植物を見られるようになったのではないでしょうか。

植物を少しでも身近に感じられた感じていただけたら幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

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