あなたのランドセルは何色でしたか?
私の子供時代は、男の子が「黒」で女の子は「赤」がほとんどでした。
今では何十色もの中から自由に選べるようになりましたが、新たな悩みをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか?
親の思いも知らずに、子どもは自由気ままです。
自分の好きな色のランドセルがほしいと主張されたら、心配になることもありますよね。
僕は絶対に赤のランドセルがいいな。だってカッコいいもん!
確かに赤はカッコいいけど、「女の子の色だ」なんてからかわれないかな…。
私はお友だちと同じピンク色のランドセルがほしいの。
お友だちと同じ色だと、間違えて持って帰りそう…。
親にとっても子どもにとっても、小学校の入学は人生の大きなステップです。
どのご家庭でも、ランドセル選びは大事なイベントになっていますね。
6年間を毎日一緒に過ごすのですから、お気に入りの一品を選びたいものです。
この記事では、ジェンダーの観点から見たランドセルの色選びについてお伝えします。
◆ 親の時代とは違うジェンダーと色の関係
◆ 子どもの好きな色と購入されたランドセルの色
◆ 親子の希望が違った場合の対処法
◆ 後悔しないランドセルの色の選び方
ぜひ最後までお読みくださいね。
1. ランドセルの色の歴史
長らくランドセルの定番色だった「男の子は黒・女の子は赤」というイメージは、いつごろ生まれたのでしょうか。
簡単に、ランドセルの色の歴史を振りかえってみます。
最初のランドセルの色
明治時代に学習院初等科で使われた牛革製の箱形通学カバンが、現在のランドセルの原型です。
当時は男女ともに黒色のランドセルでした。
革が本来持つ傷やシワなどをカバーするのに適した色であり、制服の色と馴染むことも理由だったと言われています。
1950年頃になって、茶色や赤色のものが登場します。
「男の子は黒・女の子は赤」の時代
「男の子は黒・女の子は赤」という性別による色分けが定番化したのは、1960年代半ばからのことです。
大きな背景に、1964年東京オリンピックの際に生まれた「ピクトグラム」があります。
トイレの表示に色分けしたピクトグラムが採用され、以降の日本では「男性らしい色=黒/青・女性らしい色=赤/ピンク」という性別のイメージが根付いていきました。
自由に色を選べる時代へ
1970年代から男女の役割についての意識が変わり始め、ジェンダーによる色のイメージも少しずつ変化していきます。
2000年代に入るとランドセルの多色展開が始まり、おしゃれな子供服とともにランドセルの色も自由に選ぶようになっていきました。
現在では「ラン活」という言葉が生まれるほど、より良いものを手に入れるための競争が激化しています。
入学の1年以上前に購入しないと、好みの色やデザインのものが選べないというのですから驚きですね。
このような歴史を踏まえて、子どもが好きな色と購入したランドセルの色の関係に目を向けてみましょう。
2. ランドセルの色は好きな色?
男女の色の好みには違いがあるのでしょうか。
子どもたちは好きな色のランドセルを選んでいるのでしょうか。
次の表は、5歳児を対象とした男女別の「好きな色」と「購入されたランドセルの色」のベスト3をまとめたものです。
順位 | 男の子の好きな色 | 男の子が買ったランドセルの色 | 女の子の好きな色 | 女の子が買ったランドセルの色 |
1位 | 青 | 黒 | ピンク | うす紫 |
2位 | 赤 | 紺 | うす紫 | ピンク |
3位 | 緑 | 青 | 水色 | 赤 |
男の子が好きな色と女の子が好きな色
好きな色の1位には「男性らしい色=青」と「女性らしい色=ピンク」が顕著に出ていますが、以下の順位ではバリエーションの幅が広がっています。
男の子の第2位に「赤」がランクインしているのは、「ヒーロー」や「リーダー」の色として人気が高いからです。
同様に、女の子の上位にはプリンセスや主人公の少女が身につけているドレスの色が見られます。
この年頃の子どもは、ドラマやアニメの登場人物に影響を受けることが多いですね。
好きな色とランドセルの人気色とのズレ
女の子は好きな色のランドセルを購入するケースが多く、男の子の場合は好きな色の「赤」が購入に結びついていないことに気づきます。
子ども本人の意志によるのか親や祖父母に反対されたのかは不明ですが、いずれにしても「赤は女の子の色」という定着したイメージが影響した可能性はあります。
次の項目では、その辺の状況に注目してみましょう。
色選びに込められた親の思い
ジェンダーの多様性を尊重する社会になりつつありますが、大人たちはまだまだ戸惑っているように見えます。
ランドセルメーカー(株)土屋鞄製造所は、2021年にランドセルの色についてのアンケートを実施しました。
その結果、「性別による固定観念をなくしたほうがいい」と答えた人が約8割でした。
でも、ご自身の息子さんが赤やピンクのランドセルを希望したら、あなたはどう思うでしょうか?
「赤やピンクは女の子の色」という感覚で育った今の親世代は、困惑するかもしれませんね。
その場合には、親子できちんと話し合うことが大切です。
児童の心理に詳しい性教育YouTuberのシオリーヌさんは、親御さんに次のような訴えかけをしています。
- 親が一方的にお子さんの決定権を奪わないこと
- 親ができるのは幼い子どもの意思決定をサポートすること
- 対等な立場でコミュニケーションを取ること
- さまざまな代替案や選択肢を“指示”ではなく“提案”すること
- 最終的に子どもがどんな選択をしたとしても、その意見を尊重すること
どうしても意見が合わない場合には、両者の希望を組み合わせた提案もできます。
2色使いのデザインで好きな色を取り入れられますね。
そのほかにも、親と子の希望をうまく取り入れる方法は見つけられるのではないでしょうか。
女の子の場合、ジェンダーによる色のイメージは男の子ほど影響していません。
ランドセルの色でいじめはあるの?
初めての小学校生活ですから、心配事は尽きませんね。
一人だけ違う色だったり目立ったりすると、いじめの対象になるのではないかと不安に思う親御さんもいます。
ランドセル専門サイトの調査によると、「からかわれる」程度のことは多少起きているとのことです。
もしご心配なら、小学生のお子さんをお持ちの方に尋ねてみるのもいいですし、登下校時に地域の小学生のランドセルをさりげなく観察してみるという方法もあります。
無難な色という大人の先入観で決めてしまわず、我が子が本当にほしかった色のランドセルを慎重に選びたいものです。
3. ランドセルの色もジェンダーレス化
大人服と同じような落ち着いた色調の子ども服も増え、ジェンダーに囚われることなく服を選ぶことも当たり前になってきました。
こうした流れの中で、ランドセルのカラーバリエーションもさらに広がっています。
土屋鞄製造所「RECO」シリーズ
土屋鞄製造所(東京都足立区)は、ジェンダーレスのランドセル「RECO」シリーズを2021年以来販売しています。
スタイリッシュで落ち着いた色味が「RECO」の特徴です。
例えば男の子が「赤のランドセル」がほしいといった時に、大人が見ても「カッコいい赤」であれば受け入れやすいですね。
メーカーによると、赤を選ぶ男の子は年々確実に増えているそうです。
他にも柔らかいスモークカラーや大人っぽいダークカラーが使われた、大人っぽい印象のランドセルを多数取り揃えています。
人気が高まるメタリックカラー
メタリックカラーは男女ともに人気の高い色です。
男の子にとってはシャープでカッコいい色、女の子にとってはゴージャスでオシャレな色と捉えられているんですね。
大人世代は「ちょっと派手じゃない?」と思いがちですが、「子どもが背負ってみたら意外にイケる!」という口コミが多く見られました。
子ども目線の「買って後悔した色」
色選びの最後にもう一つチェックしておきたいのが、後悔したという体験エピソードです。
男女ともに共通して挙げられた3つの色・デザインと理由をみておきましょう。
やはり「自分で選んだ色ではない」ということが、何かにつけてマイナスに作用します。
汚れや傷が目立つ。
入学当時は大好きだったが、大きくなるに連れて恥ずかしくなった。
4. 色選びとともに大切なこと
好きな色を見ていると楽しく幸せな気分になりますし、好きでない色であればその逆の気持ちになります。
あなたにもそんな経験があるのではないでしょうか?
お子さんにとって幸せな気持ちになれる色のランドセルを選ぶために、もう一つ大事なことをお伝えします。
それは「使いやすさ」です。
好きな色のランドセルでも、使い心地がよくないとストレスになります。
長い間毎日使うものだから、次の3つは十分に検討したいポイントです。
・重さや背負いやすさの工夫 ・教科書や文具の出し入れのしやすさ ・手入れのしやすさ(防水・防汚加工など) |
現在は便利なネットでの購入が多くなっていますが、色味や使い心地を実感しにくいのが難点です。
候補のランドセルを絞り込んでから、実店舗で確認して決めるのもいいですね。
5. ランドセルの色とジェンダー まとめ
保育園や幼稚園では、園児たちが遊びにきた卒園児のランドセル姿を憧れのまなざしで見ているそうです。
ランドセルは「お兄さん・お姉さん」の持ち物だから。
楽しみなのは親だけではないことがうかがえるシーンですね。
◆ ジェンダーによる色のイメージは大人の感覚です。子どもの自由な色選びを理解しましょう
◆ いろいろな情報を集めて、実情を調べておきましょう
◆ 子どもの希望を尊重しながら、親子でよく話し合うことが大切です
◆ 子どもにとって、6年間毎日気分よく通学できる色を選びましょう
少し大人になった気分のわが子が、大好きなランドセルとともに迎える入学式。
親も子も、晴れやかな笑顔でその日を迎えられますように!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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