突然ですが「植物って感情あるのかな?」と感じたことはありませんか?
私は、植物も愛情を込めるとよく育つと思ったことがあるよ
僕は、植物を育てていても感情あるとは感じたことないな
難しい質問で、はっきり答えは出ませんよね。
筆者自身は「植物には感情がある」と感じたことがあり、人間が発する言葉や音にも敏感に反応していると考えています。
過去には、言葉や音が植物にどのような影響を与えるのかを実験した人たちもいました。
その実験結果をとおして「植物には感情があるのか、ないのか」を検証してみたいと思います。
また、植物にはお互い助け合うためのコミュニケーション能力が備わっていることも明らかになってきています。
言葉や音が植物に与える実験と、植物が持つコミュニケーション能力から謎多き植物の世界をのぞいてみましょう。
【植物には感情ある】は正解か?
「植物には感情がある」と仮定したとしても、動物のように表情にだすことはありませんよね。
また、言葉も発しないので、何を思っているのかを察するのはほぼ不可能といっていいでしょう。
とはいえ、植物も栄養分や水、光などを吸収して生きている生き物であり、生き物である以上成長したり枯れたりと変化をしています。
毎日成長していた植物が、ある条件下で枯れてしまったり元気がなくなってしまったりするのは、条件が植物に何かしらの影響を与えたと考えることもできるのではないでしょうか。
ここでは条件が植物に与える影響を示す実験をご紹介し、植物には感情があるのかないのかを考えていきます。
植物にも感情あるのでは?と考えられる実験
スウェーデン発祥の世界最大の家具量販店IKEAが、2018年5月にアラブ首長国連邦の学校で興味深い実験を行いました。
・同じ種類で同じような育ちの植物を2本用意する
・水量、日照量、肥料などの栽培条件は同じとする
・片方の植物には「ほめる言葉」もう片方の植物には「ののしる言葉」を30日間、聞かせ続ける
実験結果は一目瞭然となりました。
YouTube動画、1分34秒から 出てくる植物のうち、向かって左側が「ののしる言葉」を30日間、聞かせ続けた植物。
右側が「ほめる言葉」を30日間、聞かせ続けた植物です。
ご覧のように、左側の植物は元気がなく枯れたようになり、右側の植物は元気にいきいきとしています。
科学的根拠はありませんし偶然かもしれません。
ですが、この実験は植物も「ののしる言葉」をかけ続けると元気がなくなり「ほめる言葉」をかけ続けると元気になるという結果を示しました。
植物の好みの音楽を調べる実験
アメリカのオルガン奏者でソプラノ歌手のドロシー・リアラック夫人も、1960年代に植物に音楽を聞かせる実験を行っています。
実験は夫人が音楽の学位をとるために入学した大学で行われました。
・同じ条件に維持した2つの温室を用意し、トウモロコシ・カボチャ・キンセンカなどを植える
・片方の温室には「クラシック専門のラジオ」もう片方の温室には「ロック専門のラジオ」を流し続ける
以下は実験結果です。
・「クラシック」を流した温室の植物は「クラシック」が流れるラジオの方向へと伸びていく
・「ロック」を流した温室の植物は「ロック」が流れるラジオから遠ざかる方向へと伸びていく
さらに実験を進めると、以下の結果もでてきました。
・キンセンカはクラシックを聞かせた方は2週間後に花を咲かせたのに対し、ロックを聞かせた方は全滅
・ロックを聞かせた植物はクラシックを聞かせた植物の2倍の水を消費
・ロックを聞かせた植物の根の長さはクラシックを聞かせた植物に比べて4分の1程短い
・ロックほどではないがドラムなどの打楽器の音を植物はあまり好まない
・植物はクラシックのなかでもバッハを好み、インド古典楽器のシタールの音が好き
※ドロシー・リアラック婦人の実験についての詳細なデータはありませんが、さまざまな機関で今も研究が続けられています。
植物には耳がないので、言葉や音が聞こえているかは定かではありませんが、音の周波数の違いは感知できるようです。
「クラシック」と「ロック」では音の周波数は異なるため、植物にも好みの周波数があるのかもしれません。
聞かせる音楽によって伸びる方向に違いがでるのは、植物が言葉や音を区別している証拠といえるのではないでしょうか?
植物にクラシック音楽を聞かせると光合成や呼吸を行なう気孔が大きくなり、通常よりもよく育つという研究結果も報告されています。
そのため、近年ではクラシック音楽を聞かせながら野菜や果物を育てている農家さんも多くいらっしゃいます。
植物もほめられるといきいきと成長し、好みの音楽のほうによく伸びることを示す実験から、筆者は「植物には感情がある」と考えますが、あなたはどう考えますか?
植物にはコミュニケーション能力があるのか?
植物はさまざまなものを介してお互いコミュニケーションを取っています。
例えば、以下のものは植物がコミュニケーションを取るのに重要な役割を果たしています。
- 菌糸
- 化学物質
- 匂い
一つ一つみていきましょう。
菌糸を介してのコミュニケーション能力
カナダの生態学者スザンヌ・シマード博士が、2016年にTED Talks※に出演し、以下の主旨のことを語られています。
※インターネットを通じで行われている動画の無料配信プロジェクト
・森林では、地中に菌糸のネットワークが張り巡らされており、真菌細胞が根の細胞と交わると栄養分と炭素の交換が行われる
・菌糸体は同種の樹木だけでなく異なる樹種もつなぎ、インターネットのような働きをしている
・ハブとなる「母なる木」は、菌糸のネットワークを介して若い木々の世話をしている
・「母なる木」は自分の苗木を子どもと認識し、子供にはより多くの炭素を送り、根を伸ばしやすいように場所を作り手助けをする
YouTube動画、9分50秒~12分55秒辺りが菌糸体を介しての植物のコミュニケーションのお話です。
森林では地中に菌糸体のネットワークがまるでインターネットのように張り巡らされ、植物同士がつながり、コミュニケーションを取りながら、支え合っています。
森林に生えるきのこも木も、一本一本独立して生息しているようにみえますが、実は地中でつながっているのです。
化学物質を介してのコミュニケーション能力
アフリカのサバンナに自生するアカシアは、キリンが葉を食べ始めると「エチレン」という揮発性物質を放出し仲間の木に危険を知らせている、と言われています。
この物質は半径500mまで広がり、物質を感知した他のアカシアは「タンニン」とよばれる強烈な渋み成分を分泌します。
キリンが近くの別の木へと移動しても「タンニン」が分泌された葉は渋いため食べることができず、キリンはエサを求めて遠くへ移動せざるを得ません。
葉を食べられたアカシアは、近くの仲間の木の葉をキリンに食べつくされないように、広範囲へ揮発性物質を放出して仲間の木に危険を知らせているのです。
放出される化学物質を介して、アカシアの木は仲間の木とコミュニケーションを取り合い危険回避をしているといえます。
匂いを介してのコミュニケーション能力
虫などに食べられた植物の葉からは、匂いが放出されます。
大気中に放出された匂いに反応して近くの植物は防御物質を作り出し、虫などからの攻撃に備えたり、虫の天敵である寄生蜂をおびき出したりして身を守ります。
匂いの放出は他の植物に危険を知らせる重要なコミュニケーション手段といえるでしょう。
※それぞれ、現在も研究段階で諸説あります
植物の感情とコミュニケーション能力
植物は言葉を発しないし表情にださないので「感情がある」とは考えないかもしれません。
とはいえ、この記事でご紹介した実験では、植物が言葉や音の違いを明確に区別しているのではないかと考えることもできます。
・「ほめる言葉」をかけ続けた植物→元気にいきいきと成長
・「ののしる言葉」をかけ続けた植物→元気がなく枯れたようになる
・植物の音楽の好みは「ロック」よりも「クラシック」
また、植物は一本一本独立して生息しているようにみえますがそうではありません。
実際はさまざまなコミュニケーション能力を持ち、お互い助け合っています。
・菌糸→森林の地中にネットワークのように張り巡らされ、植物同士をつなげている
・化学物質→葉を食べられたときに放出し、近くの仲間に危険を知らせる
・匂い→食べられたときに放出し、近くの植物に危険を知らせたり、寄生蜂をおびきだしたりする
ほめられると元気になったり、さまざまなコミュニケーション手段で仲間と助け合ったりしながら生きているのは人間も植物も同じ。
そう思うと植物が愛おしい存在に思えてきませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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