「森のようちえん」は発達障害の子どもに向いている?現役スタッフがおススメできる理由を解説

読者さま

子どもを自然の中でのびのびと過ごさせてあげたい。

読者さま

発達障害のわが子に、最適な保育園・幼稚園を見つけたい。

読者さま

森のようちえんについて、もっと詳しく知りたい。

こんなお悩みを抱えていませんか?

「森のようちえん」とは、自然の中で過ごすことを重視するようちえんです。

近年注目が高まりつつありますが、まだまだ全国的に数も少なく、詳しい内容は一般的に知られていません。

そこでこの記事では、森のようちえんの基本的な情報、発達障害の子どもに向いている理由、注意点を解説します。

この記事で分かること
  • 森のようちえんとはどんなところか
  • 発達障害の子どもにオススメできる理由
  • 森のようちえんについて知っておきたい注意点
  • 森のようちえんに入りたいと思ったときの手順
筆者

森のようちえんのスタッフであり、わが子を通わせている筆者が、実体験を交えてお伝えします。

この記事を読めば、森のようちえんの活動は発達障害の子どもにとってどんなメリットがあるのかが具体的にわかりますよ。

どうぞ、最後まで読んでみてくださいね。

目次

森のようちえんとは

まず、森のようちえんの概要について解説します。

森のようちえんとは?

森のようちえんは1950年代にデンマークで生まれた取り組みです。

「子どもたちに幼いころから自然と触れ合う機会を与え、のびのびと遊ばせたい」と考えた保護者が子どもたちを森へ連れて行ったのが始まりとされています。

日本で森のようちえんという言葉は「子どもが自然の中で過ごすことを軸とした、子育て・保育活動」という広い意味で使われています。

活動場所は森だけでなく、山、川、田んぼや畑、海などさまざまなフィールドがあります。

運営主体や活動内容もさまざまで、単発で行う「イベント型」や1年を通して子どもを受け入れている「通年型」があります。

イベント型

月に1回など、定期的または不定期に行事として開催されており、親子一緒に参加することも多い

通年型

スタッフが子どもを預かって保育する、通常の保育園や幼稚園に近いスタイル

通年型では多くの園が認可外保育施設の申請をしています。

認可外保育施設とは、認可保育園よりも基準が緩やかに設定された保育施設です。

筆者

基準が緩やかな分、独自性のある保育を行う施設も多く見られますよ。

具体的な活動内容

活動内容は園によってさまざまですが、一例として、わが子が通っている森のようちえんの活動をご紹介します。

曜日木  
活動森のお散歩畑/田んぼお出かけ(牧場や登山)森のお散歩
(月曜日は休み)
森のお散歩

拠点の場所から歩いて行ける森へお散歩に行きます。

お昼は森で食べて、帰りの時間がくるまで森の中でたっぷり遊びます。

畑/田んぼ

借りている畑や田んぼで活動します。

種まき、水やり、たい肥作りや田植え、稲刈りなどの他に、自分たちで育てたお米や野菜を収穫して食べる活動もあります。

お出かけ

近隣のフィールドにお出かけします。

動物のいる牧場で遊んだり、気候が良い季節には登山を行います。

雨天時は屋内で過ごすこともありますが、自然の中で過ごすのが基本です。

保育スタイルの特徴

多くの森のようちえんで共通するのは「子どもの自主性を尊重する」という点です。

そのためスタッフが見守る保育を大切にしていることが特徴と言えるでしょう。

ようちえんの活動というと「先生が活動内容を決めて、子どもたちが取り組む」というイメージがあるかもしれません。

しかし、森のようちえんでは活動内容を細かく決めずに、その日の活動場所で自由に遊ぶことが多いです。

筆者

自然の中で子どもたちは夢中になって草花のおままごとをしたり、木のぼりをしたりして遊びます。

子どもたちの自主性や自発性を育むには、子どもたちが自分で遊びを創り、没頭する時間が大切です。

費用はどのくらいかかるの?

森のようちえんの多くは国の認可を受けておらず、3歳以上の保育料無償化の対象となるところは少ないのが現状です。

複数の園での1ヵ月にかかる費用を比べてみました。

  • (A園)37,000円/月 保育料補助があるかどうかは不明 
  • (B園)70,000円/月 保育料補助対象者は月37,000円の補助あり 
  • (C園)45,000円/月 保険料900円 保育料補助対象者は月37,000円の補助あり

森のようちえんでは、安全管理のためにスタッフを手厚く配置していることが多く、通常の園より保育料が高い傾向があるといえます。

しかし、保育料無償化の対象にならない場合でも、保育料補助を受けられることがあります。

認可外保育施設での保育料補助について

3~5歳児クラス:月額3.7万円まで
0~2歳児クラス:住民税非課税世帯の子どもたちを対象に月額4.2万円まで

出典:「認可外保育施設に関する住民・事業者向け説明資料」厚生労働省

このように、認可外保育施設の届出をしている園では、3~5歳児クラスで月に37,000円の補助が受けられます。

まずは、通園を検討している園が認可外保育施設の届出をしているかを確認してみましょう。

また保育料補助を受けるには、保護者の就労の条件を満たす必要があります。

筆者

手続きが必要ですので、詳しくはお住いの自治体に問い合わせてみてくださいね。

発達障害の子どもに森のようちえんをオススメできる理由


「いつも動き回り落ち着かない」「他の子どもと一緒に遊ぶのが苦手」といった特徴をもつ発達障害の子どもは、森のようちえんに向いているのでしょうか?

筆者

森のようちえんスタッフである筆者の経験から、「発達障害の子どもにこそ、森のようちえんはおすすめ」だと考えます。

森のようちえんではインクルーシブ保育を導入している園が多く、勉強会なども頻繁に開かれています。

インクルーシブ保育とは「障がいの有無や年齢など、違いのある子どもたちを受け入れ、一緒に活動する保育」のことです。

実際にわが子が通っている園でも、発達障害の子どもが全体の2割ほど在籍しています。

このような保育スタイルに加え、自然の中で活動することから、森のようちえんを発達障害の子どもにオススメできる理由は3つあります。

  1. 自分のペースで遊びに没頭できる
  2. 自然環境は感覚刺激が多い
  3. 異なる年齢の子が一緒に活動する

それぞれについて、くわしく解説しますね。

1.自分のペースで遊びに没頭できる

森のようちえんでは、その日の活動場所で自由に時間を過ごすスタイルが多いです。

例えば、草花でおままごとをしている子どもがいれば、夢中で穴を掘っている子どももいますし、何もしないで過ごす子どもがいるなど、みんなと同じ遊びを強制されません。

決められた課題では「集中が続かない・みんなと同じペースで行うのが難しい」という子も自分のペースで遊べるので安心して過ごせます

筆者

発達障害の子どもはユニークな感性をもっていることも多く、独特な遊びに他の子どもが興味をもって加わる、ということもよくありますよ。

自分の好きな遊びから、自然に子ども同士の関係ができていくのです。

2.感覚刺激が豊富

葉っぱの手触り、頬にあたる風、鳥の声など、自然環境にはたくさんの感覚刺激があります。

歩く場所ひとつとっても、でこぼこ道や落ち葉が敷き詰められた道、斜面や水たまりなど、日々変化しています。

子どもの療育分野で行う「感覚統合」という理論では、たくさんの感覚刺激を土台にして積みあがるように感覚は発達すると考えられています。

引用:加藤寿宏監修(2019)「子ども理解からはじめる感覚統合遊び」,クリエイツかもがわ

日常的に豊富な感覚刺激に触れられることは、子どもたちの発達を促すと言えるでしょう。

3.異なる年齢の子が一緒に活動する

通常の園では同じ年齢の子どもたちで1クラスとなりますが、多くの森のようちえんでは3~5才といった異なる年齢の子どもが一緒に活動します。

未就学児は、1才の年齢差でも発達の差がとても大きいです。

そのため、異なる年齢の子どもと一緒に活動することで「みんな同じ」ではなくお互いに違いがあることに気づきやすくなります。

お互いの違いに気づくことで、小さい子どもが持ちきれない荷物を大きな子どもが持ってあげるなど、子どもたちが自然に助け合うことができます。

発達障害がある子どもはみんなと同じ行動をすることが難しい傾向にありますが、違いを当たり前のこととして受け入れる雰囲気があると、一緒に活動しやすくなりますね。

森のようちえんについて知っておきたい注意点

森のようちえんには魅力的な点がたくさんありますが、大変なこともあります。

筆者がわが子を実際に森のようちえんに通わせる中で苦労した点は、次の3つです。

  1. 送迎の負担が大きい
  2. 汚れた衣類の洗濯が大変
  3. 活動が天候に左右される

入園してから「こんなはずではなかった!」と後悔しないために、注意点を事前に把握しておきましょう。

1.送迎の負担が大きい

実際に子どもを森のようちえんに通わせる際に、多くの保護者が負担に感じる点が「送迎」です。

森のようちえんがあるのは自然豊かな場所が多いので、都市部に住んでいると遠方から通うことになります。

筆者

筆者の場合は市街地から郊外へ通園しています。
通園時間は片道約1時間なので、やはり毎日の送迎は大変です。

送迎時間が長いと、子どもが退屈して機嫌が悪くなるのが心配ですよね。

車内で軽食を食べさせたり、途中で退屈しないようにお話のCDを聞かせたり、乗り切るための工夫がいくつかあると、子どもも負担なく通うことができますよ。

2.汚れた衣類の洗濯が大変

森のようちえんは自然の中での活動になるので、衣類の汚れは日常茶飯事です。

草や泥汚れは簡単には落ちにくく、洗濯に苦労しますよね。

筆者

ニット系の洋服や帽子に草がからんでいたり、ズボンに泥汚れがついていたり……
そのまま洗濯機に入れられず、汚れをはたいて落としていました。

外遊びでは衣類の消耗も激しくなるので、お下がりやリサイクルショップを活用して予備の衣類をそろえておくと安心できるでしょう。

3.活動が天候に左右される

自然の中での活動なので、大雨や雪など天候によっては園自体がお休みになります。

筆者

仕事をしていると、急なお休みは困りますよね……

しかし、自然の中での活動は安全管理が1番大切です。

「注意報や警報が出ているときは基本的に園はお休みになる」と考えておいた方がよいでしょう。

また、園の場所だけでなく、通園ルートも安全確認が必要です。

天気予報や道路状況等をチェックして、無理をしないことが大切ですね。

ここまで保護者が大変な点を述べてきましたが、森のようちえんではたくさんの貴重な体験ができます。

筆者

子どもがのびのびと表情豊かに楽しんでいる姿を見て、森のようちえんへの通園を選んで本当に良かったと思っています。

子どもを森のようちえんに通わせたいと思ったら

「わが子をぜひ森のようちえんに通わせたい!」と思ったら、次のような手順ですすめるとよいでしょう。

子どもを森のようちえんに通わせるための3STEP

ここからは、子どもを森のようちえんに通わせるための方法を3つのSTEPに分けてお伝えします。

STEP
自宅近くの森のようちえんを探す

自宅近くの森のようちえんを探してみましょう。

「森のようちえん全国ネットワーク連盟」のホームページから、ネットワークに登録している全国の森のようちえんについて調べられます。

もしホームページにお近くの森のようちえんがなかった場合、「森のようちえん+(お住いの地域)」で検索すると見つかる場合があります。

STEP
ホームページで園について調べる

各園のホームページからくわしく情報を調べます。

チェックすべきポイントは次のとおりです。

  • 理念や教育方針、園の考え方
  • 障害がある子どもへの対応
  • 開園している曜日や時間帯
  • 夏休みなど長期休暇があるかどうか
  • 費用について(無償化など公的補助の対象になっているか?)
  • 活動内容・保育者の資格や保育を行うスタッフの数
  • 園の行事や保護者の活動

認可保育園と違い、施設によって運営のやり方や保育内容が大きく変わってきます。

そのため、保護者の方の考え方と園の方針が一致するかどうかはとても重要です。

事前にしっかりと確認しておいてくださいね。

STEP
見学・体験の予約をする

森のようちえんは入園前に見学・体験を勧めているところがほとんどです。

ホームページまたは直接電話にて、見学や体験の日程を予約しましょう。

予約の際に、持ち物・注意点を聞いておくとよいですね。

筆者

体験の際に実際のスタッフの対応や子どもさんの反応も確認できますよ。

自宅近くに森のようちえんが見つからない場合

最近数が増えているとはいえ「自宅近くに森のようちえんが見つからない!」という場合もまだまだ多いと思います。

「自然体験+(お住いの地域)」「野外体験+(お住いの地域)」などで検索すると、イベント型の森のようちえんや自然活動の場が見つかるかもしれません。

またどうしても近隣に見つからない場合は、教育移住するという方法もあります。

最近「ほいくえん留学」というニュースが注目を浴びています。

こちらは、都会ではできない体験を求めて北海道でのほいくえん留学に応募が殺到しているというニュースです。

北海道民ですらその名を知る人は少ない、人口約3500人の北海道厚沢部町。この町が今、都会の子育て世代の熱い注目を浴びている。2021年11月、町で唯一の認定こども園「はぜる」(19年開園)が「保育園留学」を開始するや否や、全国から月100件以上の申し込みが殺到。現在は80組がキャンセル待ちの状態だという。

出典:日経BP「北海道での“保育園留学”に都心から応募殺到 過疎地に集客」

ほいくえん留学は森のようちえんではありませんが、自然豊かな地方の保育園に通うため家族で短期間移住するという取り組みです。

わが子が通う森のようちえんでも、実際に都会から移住された家族がいます。

移住は簡単に決められることではありませんが、選択肢の1つとして知っておくとよいですね。

まとめ:発達障害の子どもこそ「森のようちえん」を検討する価値がある

今回は、森のようちえんの概要や発達障害の子に向いている理由、注意点について解説しました。

森のようちえんのポイント
  • 森のようちえんとは「自然の中で過ごす」活動が中心となる保育である 
  • 森のようちえんでは子どもの自主性を尊重し、見守る保育スタイルが基本
  • 森のようちえんは基本的に保育料無償化の対象ではない

※認可外施設の申請をしている園では保育料補助を受けられる場合がある

発達障害の子どもが森のようちえんに向いている理由と注意点

向いている理由
  • 自分のペースで没頭して遊べる
  • 自然の中では、発達に必要な感覚刺激が豊富である
  • 異なる年齢の子どもが一緒に過ごすため、個性が受け入れられやすい
注意点
  • 都市部から通う場合、送迎が大変になる
  • 衣類の汚れや消耗で、洗濯や衣類の準備が大変になる
  • 大雨など天候不良でようちえんが休みになることがある
子どもを森のようちえんに通わせるための手順
  1. 自宅近くの森のようちえんを調べる:連盟のホームページを活用する
  2. ホームページで園の情報を確認する:教育方針や価値観が一致するかチェックする
  3. 見学・体験の予約をする:スタッフの対応や子どもの反応を見ておく

自宅近くに森のようちえんが見つからないときは

  • イベント型の森のようちえんや自然体験の場を探す
  • 教育移住の選択肢を検討する

「森のようちえん」はまだまだ一般的に知られていませんが、自然の中でのびのびと子どもを育てたい保護者にとって魅力的な選択肢の1つです。

特に発達障害の子どもにとっては、ありのままの自分を認めてもらえ、自己肯定感を育む場にもなるでしょう。

筆者

気になられた方は、ぜひお近くの森のようちえんを探してみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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