最近、「フードロス」という言葉を目にする機会が増えました。
「フードロス」とは何か、話題になってはいても何が問題なのか、イマイチ、ピンとこないのではないでしょうか。
普段の生活の中で、どうしても食材を使い切れなかったり、残り物を食べきれないまま捨ててしまったりすることがありますよね。
食べ物を捨てるフードロスが発生すると、「もったいない」と心もお財布も傷みます。
その「もったいない」の気持ちを少し強く持って行動を変えることが、フードロスを減らす取り組みの第一歩となります。
この記事では、フードロスに関連して次のことを紹介します。
- 日本でのフードロスの実態
- フードロスを減らすために家庭でできる取り組み
- フードロスをお子さんと一緒に考えるための本
お子さんから「フードロスって何?」と訊かれたときに、自信を持ってはっきり答えられたら嬉しいですよね。
この記事を読んで、お子さんと一緒にフードロスについて考え、取り組んでみてください。
フードロスってなに?
フードロスとは、まだ食べられる食べ物が捨てられてしまうことです。
食品ロスとも言います。
政府広報オンラインによると、日本では1年間で522万トンものフードロスが発生しています。
毎日、10トンの大型トラックで1,430台分の食品が廃棄されている計算です。
4人家族で1年間に捨ててしまう食品を金額にすると、なんと6万円!
また、フードロスは環境汚染や世界の人口増加による食糧危機など多くの問題に関連するため、国際的な関心が高まっています。
フードロスって、いったい何が問題なの?
フードロスが関係している国際的・社会的問題は、数多くあります。
身近な問題を中心に考えてみましょう。
フードロスは地球温暖化や異常気象の大きな原因
ボクが食べ物を残さなかったからといって、世界で飢餓に苦しむ人を救うことにはならないよね!?
残した食べ物を、飢餓で苦しんでいる人たちのところへ持って行くわけにはいきません。
では残した食べ物は、どうなるでしょう?
廃棄した食べ物は、可燃ゴミとして焼却処分される場合がほとんどです。
米や野菜は多くの水分を含んで燃えにくいため、燃焼には多くのエネルギーを必要とし、大量の二酸化炭素が排出されます。
フードロスの焼却処理は、空気中の二酸化炭素を増やし、地球温暖化を加速させます。
温暖化は豪雨や干ばつなどの異常気候を引き起こし、その後に襲ってくるのは食糧不足と飢餓。
フードロスが増えると、結果的に世界中の多くの人を苦しめることになるのです。
フードロスが増えると、税金や物の値段が高くなる
食べ物を買うにはお金を払っているんだし、それでお店が儲かっているならいいんじゃないの?
食品を含めた多くの廃棄されたゴミを処理するために、多額の費用がかかっています。
環境省の報告書によるとゴミ処理のために使われている税金は、年間2兆円超。
そのうち約4割の約8,000億円が食べ物からくるゴミだと推測されています。
食べ物のゴミは水分を多く含むため、重くて燃えにくく、焼却炉に大きな負担をかけています。
もしフードロスが増え続けるたら、焼却炉の建設・維持・修繕に使われる金額はどれだけ増えることになるでしょうか?
また、食べ物が食卓に届くまでには、生産・保管・加工・輸送というプロセスがあり、それぞれの過程でエネルギーが使われています。
たとえば、農家の方が一生懸命に作った野菜は、冷蔵庫で保存されたり、トラックで運ばれたりして、お店に届きますよね。
食べ物を運ぶには、電気やガソリンなど、たくさんの資源・エネルギーが使われ、人が働いていることで、お金がかかっています。
フードロスは、食べ物が目の前に来るまでにかかった資源もエネルギーも、すべて無駄になってしまいます。
無駄になった資源やエネルギーにかかった費用は、物の値段に跳ね返ってくるのです。
フードロスのおもな原因と対策は?
日本のフードロスのうち、半分近くの47%は一般家庭から発生しています。
一般家庭からのフードロスの原因は、次の3つに大きく分けられます。
- 食べ残し
- 直接廃棄(調理されないで廃棄される)
- 過剰除去(食べられる部分を捨ててしまう)
それぞれについて、もう少し詳しい状況と対策についてご紹介します。
食べ切れずに「食べ残し」
つくったお料理を食べきれずに捨ててしまうのが「食べ残し」です。
食べ残しの原因で多い例をみてみましょう。
- お料理を作りすぎて、食べ切る前に痛んでしまった
- 子どもが思ったように食べてくれない
- 嫌いな食べ物を残してしまう
食べ残しをなくすためにできるのは、「残さずに食べる」ことです。
では、残さずに食べるポイントを3つ覚えておきましょう。
食べられる分だけを料理し、作りすぎないようにする
食べきれなかった料理は、冷蔵など保存方法に工夫して、早めに食べる
調理方法を工夫するなどして、好き嫌いをできる限りなくす
お子さんが、お腹がいっぱいになったり苦手なものがあって食べられないものがあったりして食べられない場合は、「食べたら栄養になるけれど、残したらゴミになってしまうよ」と、伝えてみてはいかがでしょうか。
調理されないで廃棄される「直接廃棄」
食品が使われないまま捨てられることを「直接廃棄」といいます。
直接廃棄の主な原因は、買いすぎや、長持ちしない保存方法などです。
このような経験はありませんか?
- 買い物してきたら、家に同じものがあったので結局使わなかった
- 買ったことを忘れ、気づいたときに期限が過ぎていた
- 要冷蔵なのに、冷蔵庫に入れ忘れて常温でおいてしまった
直接廃棄をなくすためにできるのは「買う物を決めてから買い物に行き、正しく保存する」ことです。
- 買い物に行く前に冷蔵庫の中身をチェックする →メモする、スマホで撮影する
- 献立に合わせて、必要な分の食材だけを買う →まとめ買いを避ける
- 記載されている保存方法に従う
- 「消費期限」と「消費期限」の違いを意識する
消費期限と賞味期限の違い
「消費期限」と「賞味期限」は、どちらも未開封で食品をおいしく食べられる期限を表していますが、意味が異なります。
消費期限とは、安全に食べられる期限のことを指します。
食肉や生魚・お弁当・ケーキなど、痛みやすい食品に表示されるため、期限を過ぎたら食べるのをやめましょう。
消費期限の食材は、買い物の際食べきれる分だけを買うよう注意しましょう。
一方、賞味期限は品質が変わらずおいしく食べられる期限のことを指します。
カップ麺や缶詰、スナック菓子・チーズ・レトルト食品など未開封で保存方法が正しければ、期限がきてもすぐに安全上の問題はありません。
万が一、期限を過ぎてしまったら、十分に加熱するなど、調理方法を工夫して消費しましょう。
食べられる部分を捨ててしまう「過剰除去」
調理の過程で、本来は食べられる部分を捨ててしまうのが「過剰廃棄」です。
- 果物や野菜の皮を厚くむきすぎてしまう
- 野菜や果物のヘタなどを、大きく切り落としてしまう
- お肉の脂身を捨てる
上記のような経験がある方もいるかと思いますが、これも過剰除去です。
「食材を無駄なく料理に使う」ことで過剰除去を防げます。
栄養がたくさんつまっている野菜の皮は、食べられるように料理に工夫する
できるだけ皮は薄くむき、取り除く部分は小さくする
捨てられがちな部分を使って料理してみる
フードロスをお子さんと一緒に考えるための本
お子さんがフードロスに関心を持ち、一緒に対策に取り組んでくれたら、やる気が一段と高まりますよね。
子どもにもわかりやすく書かれている、フードロスに関する絵本・児童書を紹介します。
『もったいないぞうのこさんぞう』
作:赤間まゆみ/絵:もう中学生/発行:松本市
捨てたり、食べ残したりした野菜を使って、ぞうさんがおいしいお料理をつくります。
食べ物を大切にする気持ちとその方法を教えてくれます。
『しんでくれた』
作:谷川 俊太郎/絵:塚本 やすし/出版社: 佼成出版社
お肉やお魚を食べられるのはなぜか、「命をいただいている」ことの尊さを伝えています。
『食品ロスはなぜ減らないの?』
小林 富雄 (著)/岩波ジュニアスタートブックス
食品ロスの現状、問題点、課題と、解決に向けた地域や学校、個人による取り組みを紹介しています。
できることから始めよう、フードロスを減らす取り組み:まとめ
この記事では、フードロスと、フードロスを減らすために家庭でできる取り組み方について紹介しました。
フードロスとは、まだ食べられる食べ物が捨てられてしまうこと
4人家族で、1年間に6万円分のフードロスが発生
フードロスは、異常気候を引き起こし、食糧不足や飢餓の原因となり得る
フードロスが増えると、税金やモノの価格の値上げにつながる
フードロスの原因は「食べ残し」「直接廃棄」「過剰除去」
フードロスをなくすには「残さずに食べる」「買う物を決めてから買い物に行き、正しく保存する」「食材を無駄なく料理に使う」
食品を捨てる時に感じる「もったいない」の気持ちを少なくするための行動が、そのままフードロスを減らすための取り組みとなります。
最後に、お子さんもフードロスに関心を持てるよう、わかりやすく書かれている絵本・児童書を紹介しました。
大切な食べ物を無駄なく食べ切ることが、環境も家計も助けることになります。
「もったいない」の気持ちを大切に、できることから取り組んで、フードロスを少しずつでも減らしていきましょう。
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