AI(人工知能)の「イライザ」ってなに?AIの始まりを解説!

かつてはSFの世界の話だったロボットやAIとともにある暮らしは、今やロボット掃除機やAIアシスタントといった形で人々の生活にすっかり浸透しました。

 

今これを読んでいる皆さんの中にも、自分でSiriや「りんな」と会話したり、SNS上でアレクサとのやりとりを撮影した動画を観たことのある方がいるのではないでしょうか。

 

※Siri…アップル社の製品に搭載されているAIアシスタント。

※りんな…LINEやTwitter上の対話ボット。こうした、主にテキストを用いる会話シミュレーションプログラムは俗に「人工無脳」とも呼ばれる。

※アレクサ(Alexa)…Amazonが開発したAIアシスタント。

 

Googleで「AI」や「人工知能」を検索しようとすると、サジェスト(予測変換)に「イライザ」という女性の名前が出てきます。これをタップもしくはクリックすると、Siriに関する都市伝説とともにウィキペディアの記事がヒットします。

それによると、「イライザ(ELIZA)」とは1960年代にMIT(マサチューセッツ工科大学)のジョセフ・ワイゼンバウム氏によって書き上げられた対話システムで、現在のAIアシスタントや「りんな」などの元となったソフトウェアのようです。

 

この記事では、現代のAI・ロボットの祖ともいえる60年前の人工知能「イライザ」についてご紹介していきます。

目次

1960年代の人工知能

ロボット  

「1960年代にAIがあったの?」

 

と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

実は「人工知能」という言葉が生まれたのは1956年、アメリカの大学で開かれた、通称「ダートマス会議」という研究会議でのことでした。

 

その10年後の1966年に生まれたイライザは、ユーザーの入力に対して具体的には答えず発言を続けさせるようなメッセージを返すだけのシンプルな対話システムでした。

 

ワイゼンバウム博士は、そのシンプルさゆえ人々はすぐに飽きるだろうと考えていましたが、実際にはイライザと話した者は実際の人間と話しているような錯覚に陥り、中には博士が仕組みを説明しても信じずイライザの返答を真剣に受け止める人までいました。

こうした、コミュニケーションがとれ(ているように見え)るプログラムに対して人が親近感を抱く現象は、「ELIZA(イライザ)効果」と呼ばれています。

 

AIの始祖だけあって、現象の名前の由来になったりしているんですね。

 

アンドロイドがMCを務めた番組

A.I.風のイラスト

 

さて話は変わりますが、皆さんは2015年に日本テレビ系列で『マツコとマツコ』という番組があったことはご存知でしょうか?

 

この番組では、最新鋭のアンドロイド技術を応用し、マツコ・デラックスの表情やしぐさ、癖に至るまで忠実に再現した「マツコロイド」を製作。ロボット研究の第一人者である大阪大学の石黒浩博士の監修、街の人々や様々な職業に就いて働いている人々の協力を得て「アンドロイドのいる未来」をテーマに数々の実験を行いました。

 

私の中で特に印象に残っているのは、街の人々にマツコロイドと話をさせてみよう、という企画です。その内容は

 

「畑のど真ん中や街の一角に建てた簡易なテントの中にマツコロイドを設置し、マツコロイドを通してマツコ・デラックス本人が人々と会話する」

 

というものでした。

私が興味をひかれたのは、初対面の生身の人間相手であればあまり話さないような悩みを相談してくる人が少なくない、という点でした。

 

もちろん「有名人気タレントがMCを務めているテレビの企画に心の準備をする時間もなく突然参加したことによって舞い上がり口が軽くなった」などの理由も少なからずあるのかもしれませんが、番組では「生身の人間相手なら話しにくいようなことも、アンドロイドをはじめとするロボット相手だと話しやすい・心を開きやすいことがあるのかもしれない」と考察していました。

 

イライザ効果について知った上で改めてその実験結果について振り返ってみると、マツコ・デラックスと直接話すのではなく、間にマツコロイドを介在させたことで、実験に参加した人々の一部にイライザ効果をもたらしたのかもしれない、と思えてきます。

 

実際にイライザとコミュニケーションをとった人々の中には、対話の記録を博士が閲覧することをプライバシーの侵害だとして拒んだり、対話中は部屋に一人きりにしてほしい、と頼んできた人もいたそうです。

 

AIは人の心に寄り添えるか?

ハート心電図

「生身の人間よりAIやロボットの方が人の心を開きやすいなら、心療内科や精神科のカウンセリングに利用できるのでは?」

 

当時の人々はおおよそこういったことを考え、このプログラムを応用してコンピュータ・カウンセリングシステムを開発しようとしました。もし実現すれば、精神医療には革命的な変化がもたらされることでしょう。

しかし、残念ながら「AIカウンセラー」はいまだに実現していません。

 

AIは相手の発言意図を理解できず、また当時は会話の自由度も乏しかったため、相手が求めるような答えや相手の抱える心理的な問題を解決に導けるような答えは返せなかったのです。

 

現在はクラウドサービスやディープラーニング技術により、当時では難しかった膨大な学習データを扱えるようになったことで精度が向上し、ある程度効果的な答えを出せるようになりました。

しかし現代の技術をもってしてもAIカウンセラー誕生の日は遠く、2013年にオックスフォード大学のフレイ博士らが発表した「10~20年以内にAIに奪われる仕事・奪われない仕事」のランキングにおいて、メンタルヘルスカウンセラーや臨床心理士といった職業は「奪われない仕事」のトップ30に入っています。

 

AIは、人の心を開くことはできても、それを真に理解することはできません。

 

人工知能が人の心に寄り添えるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。

 

人工知能「イライザ」って?始まりのAIを解説 まとめ

 

ワイゼンバウム博士がイライザを造り出してから約60年、ディープラーニング技術の登場により人々のAIに対する関心が高まっています。

 

最新技術のように思われがちなAIですが、実際には半世紀以上の歴史があり、その中でたびたび壁に直面しながらも新たな技術によって普段の生活の中にも取り入れられるようになってきました。

 

AIという言葉が生まれた頃に比べて科学技術は大きく進歩したように感じますが、いまだAIは人の心を理解する段階には至っていません。

 

かつてイライザに夢を見た研究者たちの念願が叶い、人の心を理解するAIが誕生した時、人類の未来がより明るいものになっていくといいですね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

 

 

 

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