ヘアドネーションとは寄付された髪の毛を使って医療用ウィッグを作製し、病気と闘う子どもたちに無償で届ける活動です。
最近ではヘアドネーションについて発信する有名人が増えたこともあり、活動に興味を持つ方が増えています。
しかし認知度が上がった一方で「意味ない」という意見を目にすることもあり、本当に寄付していいのか悩むことはありませんか。
実際のところヘアドネーションが意味ないというのは誤解ですが、そう思われてしまうのには理由があるのです。
そこで、この記事ではヘアドネーションが意味ないと誤解される理由と、必要とされる支援方法について解説します。
寄付された髪の毛によって作られた医療用ウィッグを心待ちにしている子どもは、今もたくさんいます。
より意味のある支援にするためには、ヘアドネーション活動について理解した上で活動をよりサポート出来る形で髪の毛を寄付することが重要です。
この記事を読めばヘアドネーションは意味ないと誤解されてしまう原因がわかり、より活動に寄り添った方法で安心して支援できます。
ヘアドネーション=意味ないは誤解
ヘアドネーションで医療用ウィッグを届ける相手は、おもに病気やケガで髪の毛を失った子どもたちです。
今もたくさんの子どもや保護者に無償で人毛の医療用ウィッグを送ることで、経済面と心の面を支援しています。
つまり、ヘアドネーションが意味ないというのは誤解です。
具体的にヘアドネーションが必要とされる理由について解説しますので、参考になれば幸いです。
ウィッグは治療を頑張るチカラになる
医療用ウィッグは見た目を整えるだけではなく、心理面にも以下のような良い影響をもたらします。
- 見た目のコンプレックスを減らせる
- まわりからの目が気になりにくくなる
子どもたちは病気や見た目の変化だけではなく、周囲からの心ない発言や態度にも苦しみ傷ついています。
髪の毛がないことを理由にイジメの対象になったり、ショックで引きこもってしまったりする場合も少なくありません。
ウィッグを手に入れたことで、前向きになったり以前のように笑えるようになったりする子どもはたくさんいます。
ウィッグは治療を頑張るチカラになります。
ヘアドネーションは髪の毛を送ることで、つらい治療と闘う子どもたちを応援し心を癒す支援なのです。
子どもたちは良質なウィッグを必要としている
医療用ウィッグといっても、使用する素材や植毛方法の異なるさまざまな商品が販売されています。
価格もさまざまで、人工毛を使い機械で植毛したものは1万円以下でも販売されています。
一方、人毛を使い手で植毛したものは、8万円以上で25万円を超える場合もあり大変高価です。
機械で植毛した人工毛のウィッグは安価で手に入りやすいものの、髪質や植毛の状態に不自然さが出てしまいます。
子どもは不自然さに敏感なため、できれば人毛を手作業で植毛した良質な医療用ウィッグを使わせてあげたいと多くの親御さんは願っています。
他にも子どもの医療用ウィッグを選ぶときは、肌に優しいベースを使用していることやメンテナンスが可能であるかも重要です。
ウィッグには髪を植える土台となるベースがあり、その素材により肌への刺激も変わります。
子どもは大人より肌が敏感なため、ベースは肌に優しい素材が好ましいでしょう。
また、子どもは成長によって頭の大きさが変わるため、定期的なメンテナンスを必要とします。
しかし、メンテナンスに対応している医療用ウィッグは多くありません。
現状では、良質で子どもの成長に合わせたメンテナンスもできる医療用ウィッグはかなり高額です。
費用面がネックとなり、子どもが納得できるレベルの医療用ウィッグを簡単に購入できないご家庭も少なくありません。
ヘアドネーションで無償提供する医療用ウィッグは見た目も自然で肌に優しく、成長に合わせたメンテナンスにも対応できます。
非常に良質な医療用ウィッグのため、子どもたちや親御さんにとても喜ばれています。
ヘアドネーションの活動に賛同し、髪の毛を送る意味はあるといえるでしょう。
ヘアドネーションは意味のある活動であるにも関わらず、なぜ意味がないと誤解されてしまうのでしょうか。
次項では、ヘアドネーションが意味ないと誤解されてしまう理由を解説します。
ヘアドネーションが意味ないと誤解される理由
ヘアドネーションは意味のある活動ですが、なぜ誤解されるのか疑問に思う方もいるかもしれません。
具体的には、以下のような理由があげられます。
- 人工毛で品質の良い医療用ウィッグがある
- 髪の毛が余っている
- 偽善ではないか・送られた髪の毛が気持ち悪い
- 団体が信用できない
- 資金や人手不足でウィックが作れない
誤解されてしまう理由を、順番にくわしく解説します。
人工毛で品質の良い医療用ウィッグがある
人工毛の品質が向上していることから、わざわざヘアドネーションで髪の毛を集める意味はないと考える人もいます。
わざわざ高価で手間のかかる人毛を使うより、高品質の人工毛で医療用ウィッグを作ったほうが効率的だからです。
確かに最近の人工毛は、手触りや耐久性などの品質が大きく向上しています。
安価で長さや色が揃っているため、人毛を使うより処理や植毛などに手間をかけず高品質なウィッグを作製できます。
しかし人毛の医療用ウィッグと比べてしまうと、フィット感や見た目の自然さは大きく劣ってしまいます。
ウィッグが不自然なことにより、かえって子どもたちを傷つけてしまうのは避けなくてはなりません。
また、肌の弱い子やアレルギーがある子など人工毛を使えないケースもあります。
人工毛の品質が上がっていても、現状ではヘアドネーションに意味はあります。
髪の毛が余っている
ヘアドネーションは意味ないと誤解される原因で多いのが「髪の毛が余っていると聞いたから」です。
寄付された髪の毛を一時的に保管しているだけであり、余っているというのは誤解です。
子どもたちの希望するヘアスタイルに合ったウィッグを作製するまで保管しています。
保管している状態を余っていると誤解されているだけで、ヘアドネーション自体には意味があります。
偽善ではないか・送られた髪の毛が気持ち悪い
髪の毛を送る行為が自己満足や偽善ではないかという意見もあるため、ヘアドネーションは意味がないと誤解する人もいます。
ヘアドネーションで髪を寄付したとSNSでアピールしている投稿を見て、マイナスの感情を抱いてしまうためです。
また、ヘアドネーションが「髪の毛がないのは普通ではない」という思想を強めると考える人もいます。
ヘアドネーションに対しての考え方は、当然のことながら人それぞれです。
ただ、ヘアドネーションによる医療用ウィッグを必要としている子どもがたくさんいるのは事実です。
医療用ウィッグを待っている子どもたちに髪を送る行為は、彼らの助けになります。
自己満足や偽善とはいえないでしょう。
また、髪の毛の衛生面が気になり気持ち悪いという意見もたまに聞かれます。
髪の毛は適切な方法で処理をし、衛生的な状態で使用されるので心配はいりません。
寄付した相手に気持ち悪いと思われないかと心配される方もいます。
これまでもお話してきたように、ヘアドネーションの医療用ウィッグは子どもや保護者に希望されて作製するものです。
もし、他人の毛に抵抗があればヘアドネーションの医療用ウィッグを申し込まないでしょう。
寄付した相手に気持ち悪いと思われることはないので安心してください。
団体が信用できない
「ヘアドネーションの団体が、寄付した髪をお金儲けの道具にしている」と考える人もいます。
団体の運営に疑問を抱く人がいることも、ヘアドネーションが意味ないと誤解される理由のひとつです。
残念ながらヘアドネーションと嘘をつき、転売目的で髪の毛を集める悪質な団体は存在します。
しかし悪質な団体はごく一部で、ほとんどの団体は善意の気持ちで運営しています。
髪の毛を送る前には、寄付先が信用できる団体かどうかを慎重に見極めるようにしてください。
資金や人手不足でウィックが作れない
活動するための費用や人手が足りないため、髪だけを送っても意味ないといわれる場合もあります。
ヘアドネーション活動をする団体は活動にかかる材料や人件費を寄付や商品の売り上げで賄っているため、資金不足に苦しむ団体は多いのが現状です。
医療用ウィッグの製作は、採寸や髪の植え付けなど手作業の工程が多くあります。
製作した後も、子どもの好みの髪型になるようウィッグをカットする人を確保しなくてはなりません。
資金不足により人手や人件費の確保ができず、医療用ウィッグが作製できないことは多々あります。
確かに資金や人手不足の現状はありますが、各団体はひとつでも多く作製できるように努力して運営しています。
医療用ウィッグを待ち望む子どもたちがいる限り、ヘアドネーションは意味があるといえるでしょう。
最近では資金不足を補うために、チャリティグッズを用意している団体も増えています。
ヘアドネーションへの誤解や否定的な意見はありますが、あなたの誰かの力になりたいという気持ちは大切にするのをおすすめします。
ヘアドネーションは意味ないというのは誤解ですが、より意味のあるものにするには寄付する側の工夫も大切です。
次は、ヘアドネーションで髪を寄付することを検討しているあなたに知っていただきたい「より必要とされるヘアドネーション寄付方法」を解説します。
より必要とされるヘアドネーション寄付方法
ヘアドネーションは寄付する側がルールを守ったり工夫したりすると、医療用ウィッグの作製にかかる負担を減らせます。
より必要とされるヘアドネーション寄付方法は、以下の4つです。
- 1cmでも長くカットする
- 決められた方法でカット・配送する
- 髪の毛へのダメージを減らす
- 信用できる団体に寄付する
せっかく寄付するなら喜ばれる方法を選びたいと思う方は、ぜひ参考にしてください。
1cmでも長くカットする
40~50cm以上の長い髪は不足しているので、できるだけ1cmでも長くカットするのが好ましいでしょう。
子ども用の医療用ウィッグを作るためには、髪の毛は最低31cmの長さが必要だといわれています。
これは髪を半分に折リ返してウィッグの土台(地肌)となるベースに植え付けるためで、31cmの長さの髪はショートヘアのウィッグに使われます。
実際に医療用ウィッグを必要とする子どもたちには、セミロングやロングヘア―が人気です。
女の子はプリンセスに憧れる・七五三で髪を結いたいなどの理由で、ロングヘアを希望する子が多くいます。
ボブのウィッグを作るには40cm、セミロングのウィッグを作るには50cm、ロングのウィッグを作るには60cm必要だといわれています。
しかし寄付する側も長く伸ばすのは何年もかかるため、需要の高い40~50cm以上ある長い髪は常に不足しているのです。
31cm以上でなるべく1cmでも長くカットして寄付すると、子どもたちに早くウィッグを届けるお手伝いができます。
決められた方法でカット・配送する
医療用ウィッグの作製にかかる負担を減らすためにも、決められた方法でカット・配送を行いましょう。
間違った方法でカット・配送してしまうと、ウィッグ作製の手間を増やすことになったり髪が使えなくなったりする最悪な状況になるためです。
具体的に髪の毛をカット・配送する前に、以下の項目をチェックしましょう。
- 切り口から毛先まで31cm以上か
- 決まりを守ってカットしたか
- 切った髪はよく乾かしたか
- 包装・配送は適切な方法か
カットの決まりについては、各団体のホームページなどに記載されていますので、事前に必ず確認しましょう。
この中で見落としがちなのが「切った髪は完全に乾かした状態で送る」です。
髪の毛が乾いていないとカビが発生し、せっかくの寄付が無駄になってしまいます。
せっかくルールを守ってカットして送っても、髪が乾いていないと無駄になってしまいます。
気をつけましょう。
なお、カットと髪の送付を行ってくれるヘアドネーション賛同美容室の利用も可能です。
しかし、預かった髪を転売する悪質な美容室が存在する点は知っておいてください。
確実に送付できるよう、手続きはなるべく自分で行うことをおすすめします。
決められた方法でカット・送付することで、余計な手間や髪をムダにしてしまうことを防げます。
髪の毛へのダメージを減らす
できる限りヘアケアを取り入れて、寄付する髪の質を良くすることも大切です。
両端を持って引っ張るとすぐに切れるような髪は、医療用ウィッグに使用できないためです。
中にはヘアカラーやパーマ、ブリーチをしたら寄付できないのではと、心配される方もいるかもしれません。
団体によって受け付ける基準は異なりますが、ヘアカラーやパーマ、白髪が混ざった髪でも寄付は可能な場合もあります。
いずれにしても極度のダメージヘアは医療用ウィッグに使えません。
なるべくヘアケアを取り入れながら、髪の毛を伸ばすのをおすすめします。
信用できる団体に寄付する
ヘアドネーションは、何年もかけて髪を伸ばす必要があります。
大切に伸ばした髪を有効に活用してもらいたいなら、寄付する団体は慎重に選ぶのをおすすめします。
具体的には以下の内容に注目して選ぶと良いでしょう。
- 運営元が明確な団体か
- 活動実績を公開しているか
- 賛同美容室が多いか
- 提供者の数や口コミが良好か
- 寄付の条件を守れそうか
医療用ウィッグの作製実績が豊富な団体に寄付すると、転売されるなどの失敗を避けられます。
これまでご紹介した内容は、「より必要とされるヘアドネーションの寄付方法」です。
ヘアドネーション=髪の毛を送るだけの支援と思われがちですが、髪を伸ばさなくてもできる支援はあります。
次に「髪の毛を送る以外にできる支援」について解説します。
髪の毛を送る以外にできる支援
ヘアドネーションは、ただ髪の毛を送るだけの支援ではありません。
1人ひとりがヘアドネーション活動への理解を深めることも大切な支援です。
また、できる限りで寄付したりチャリティグッズを購入したりすることも立派な支援といえます。
病気への理解を深める
病気や治療への理解を深め、みんなが暮らしやすい社会を目指すことも大切な支援です。
子どもたちは病気や髪の毛を失ったことだけではなく、まわりから好奇な目で見られることにも傷ついています。
特に中学生や高校生の子は「いきなり髪の毛が増えたら変に思われる」と、医療用ウィッグの着用をためらう場合もあります。
子どもたちの抱える悩みや苦しみは、単に医療用ウィッグがあれば解決する問題ばかりではありません。
まわりの理解ある声かけや温かい対応は、ときに医療用ウィッグ以上に子どもたちを癒し前向きにしてくれるでしょう。
子どもたちが無理解や偏見によって傷つくことのないような社会を作ることも、広い意味でヘアドネーションの支援といえます。
支援・募金をする
髪の毛を寄付するのが難しい場合でも、募金やグッズ購入などでもヘアドネーションの支援はできます。
運営団体の多くはチャリティグッズの売り上げや寄付などで活動費を賄っており、資金難の団体は少なくないのが理由です。
医療用ウィッグは手作業の工程が多く、作製には多くの人手とお金が必要です。
子どもたちへ医療用ウィッグを届けるために、無理のない範囲で募金などの支援も検討してみてください。
寄付のために何年も髪を伸ばすのは大変なので、すべての人ができる支援ではないですよね。
髪を伸ばさなくてもできる、ヘアドネーションの支援はあります。
興味を持った方は、ご紹介した方法での支援を検討してみてください。
ヘアドネーションは意味あり!知識をもって善意を届けよう
ヘアドネーションが意味ないという意見は、誤解や偏見によるものが多くを占めています。
考え方は人それぞれですが、必要としている子どもや保護者が今もたくさんいるのは事実です。
意味ないと誤解される理由の中には、寄付する側の工夫しだいで解決できるものもあります。
より需要の高いヘアドネーションを実現したい方は、以下の方法を試してみてください。
- できる限り40~50cm以上の長い髪を寄付する
- 規定に沿ってカット・配送する
- 髪の毛へのダメージを減らす
- 信用できる団体へ寄付する
また、ヘアドネーションは髪の毛を送るだけではなく、病気について知ることや募金などで支援することも含まれます。
ヘアドネーションは、医療用ウィッグを通して子どもたちへ勇気と希望を与えられる支援です。
もし興味や関心があれば、できる範囲で活動を支援してみてくださいね。
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