読者様は「NFTアート」という言葉をご存じですか?
「アートは馴染みがあるけれどNFTは聞いたことない」という方が多いのではないでしょうか。
NFTアートは新しいアートのかたちです。
NFTとは、仮想通貨を成立させている技術であるブロックチェーンを使って発行された、代替が不可能なトークンのことをいいます。
また、NFTアートは、このNFTをデジタルアートと結びつけ、唯一無二の所有の証明がつけられたデジタルコンテンツです。
この記事では、少し複雑なNFTアートの仕組みを簡単に解説していきます。
NFTアートについて踏み込んで知りたい、という方はぜひお読みください!
NFTアートの意味
まずは、そもそも「NFT」と「NFTアート」とは何か、簡単にご説明します。
NFTとは
冒頭でも少し触れましたが、NFTは「Non-Fungible Token」の略であり、何らかの価値に紐づいた、代替性のない、世界に一つだけのデータです。
代替性のないものとしては、例えばミュージカルのチケットがわかりやすいです。
ミュージカルのチケットは、公演の日時・席が指定されていて同じ演目の公演でも公演日や席が同じものはありません。
つまり、他のチケットとはチェンジできませんね。
NFTも同様に、それぞれにトークンIDという識別番号がついていて、結びつく価値が異なるため、交換できません。
NFTアートとは
世界に一つだけのデータであるNFTとデジタルアートが紐づいてNFTアートができます。
つまり、NFTアートとは「これが一つだけの本物です」という所有証明書がついたアートです。
アートの中でもデジタルアートはコピーするのが簡単な上、本物とコピーの違いが分かりづらく、データの改ざんが容易にできてしまうのが難点でした。
そこで、デジタルアートに証明書をつけてオリジナルであることを示したものがNFTアートです。
NFTアートのデータの仕組み
NFTアートのデータは、インデックスデータ→メタデータ→画像データの3層構造で、入れ子のようになっています。
データの構造 | 含まれる情報 |
---|---|
インデックスデータ | NFTの所有者情報。識別番号、所有者、取引履歴、NFTと紐ついたアートの詳細情報(メタデータ)の保存先 |
メタデータ | NFTに紐ついたアートの作成者、アートの説明、アートの種類(イラスト、写真など)、サイズ、アートそのものである画像の保存先 |
画像データ | アートそのものである画像のデータ |
インデックスデータは、NFTを明示するためのデータです。
メタデータの中にあるアート情報は、画像そのものではなく、画像の保存先のリンクのみになります。
つまり、画像データそのものはさらに別の場所にあります。
NFTアートの画像データ保存先の仕組み
NFTアートのデータは、すべてがブロックチェーン上にあるとは限りません。
アートの画像データはテキストデータと比べて複雑で大容量なので、NFTにはのせるには不向きです。
データ量が大きいと、ブロックチェーン上で管理する手間がかかり、手間のかかる分費用(手数料)が発生して、取引が難しくなります。
そのため、アート画像は通常NFTとは違う場所に保存されます。
どこに保存されているのかは調べることができるので、気になるアートの保存先をチェックしてみることをお薦めします。
マーケットプレイスのサーバーに保存するケース
1つ目は、NFTにあるのはインデックスデータのみで、メタデータや画像データは、NFTアートのマーケットプレイスのサーバー上に保存されるケースです。
NFTのデータ量が減り、コストを抑えられることがメリットです。
ただし、マーケットプレイスがなくなって画像データが消失するリスクや、サーバーへの不正アクセスで画像データが改ざんされるリスクがあります。
ブロックチェーンの外(オフチェーン)にあるデータは、改ざんできないデータというわけではないからです。
IPFSを利用するケース
2つ目は、IPFSを利用するケースです。
IPFSという分散型ファイルシステムにアートの画像データを保存すると、個別のアドレスがつけられます。
IPFSでは、データが変更されると別のアドレスになるので、NFTとリンクするアドレスは元のデータのままです。
リンク先が変わらないので、画像データ改ざんリスクは軽減されます。
NFT内にあるケース
3つ目に、アート画像データがNFTの中に含まれているケースもあります。
データがすべてブロックチェーン上にあるので、改ざん不可能で、消失リスクはありません。
かわりに、データが大きすぎて管理コストがかかることが欠点です。
NFTアートの取引上の仕組み
NFTアートの取引はブロックチェーン上で行います。
ブロックチェーンの技術により作られるNFTを使っているからです。
主に、イーサリアムというブロックチェーンが利用されていて、取引はNFTマーケットブレイスというプラットフォームで行います。
また、イーサリアムでは仮想通貨イーサ(単位はETHで、日本では「イーサリアム」とも呼びます)が使われます。
ここでは、NFTアートの取引の仕組みにおける、大きな特徴を2つ紹介します。
記録が改ざんできない
NFTアートの取引の大きな特徴として、まずは取引記録の改ざんができない、ということが挙げられます。
NFTを発行するために、安全に取引を記録できる技術であるブロックチェーンを使っているからです。
取引データが改ざんできないので、自分の購入したNFTアートの不正利用が防げて安心です。
アーティストへ適正なロイヤリティ収入を配分できる
NFTアートの取引の特徴のもう1つは、イーサリアムのブロックチェーンには、スマート・コントラクトというNFTにプログラムを追加できる機能があります。
取引のたびにロイヤリティが発生する契約をプログラムできる機能が、スマート・コントラクトです。
ロイヤリティとはアーティストに自動で配分される収入ですので、スマート・コントラクトを利用することでアーティストの収益を守ることができます。
NFTアートの仕組みを覚えておこう‼
この記事では、NFTアートについて仕組みを紹介しました。
最後に、この記事の内容をおさらいします。
- NFTアートとは、世界でただ一つという所有証明書つきデジタルアート
- NFTアートは、ブロックチェーンを利用してつくられたNFTを使うので、固有の識別番号で取引履歴をすべて記録し、改ざんできない
- NFTアートのデータは、すべてがブロックチェーン上にあるとは限らない
- ブロックチェーン外にあるアート情報やアートの画像データには、消失リスクや改ざんリスクが残っているので注意
NFTアートの仕組みは少し複雑ですが、これからのアートの楽しみ方の一つとして、ぜひ覚えておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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