お子様の中学受験を考える時、最初にあたる壁が「塾問題」ではないでしょうか。
- 塾はどこがいいのだろう
- 何歳から通えばいいのかしら
- 塾の勉強についていけるかしら
その前に…
そもそも塾に行く必要はあるのかしら?
そう悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
よく「たった12歳が受ける中学受験、親である自分が教えてやるから大丈夫だ」
とおっしゃる方がいらっしゃいます。
いわゆる「パパ塾、ママ塾」などと呼ばれる家庭内勉強だけで受験すればいい、という方々です。
確かに、高学歴のお父さんお母さんなら、小学生の勉強くらい楽勝で教えられると思うかもしれませんね。
だったら塾なんて不要。お金の無駄だ。
そう考えるかもしれません。
しかしそれは大きな間違いです。
なぜなら、勉強そのものに塾の力が必要なのはもちろんですが、
塾の役目は単に勉強を教えるだけではないからです。
たった12歳の子が初めて挑む戦いに向かう術を教え、そして親と一緒に伴走してくれる、
それこそが中学受験塾の役割です。
今回は、メディアではあまり語られない中学受験に塾が必要な本当の理由を、そして父母だけが勉強を教える弊害を、実例を交えて詳しくお伝えいたします。
その前に…うちの子受験する?しない?と迷っていらっしゃる方はこちらの記事をチェックしてくださいね。
塾に関することは、中学受験をしないご家庭でも、今後の高校受験や学校の勉強の補習塾においても参考になると思います。
よかったらぜひ読んでみてください。
学校の成績が優秀なら中学受験塾にいかなくていい?
うちの子は小学校のテストはいつも満点だから、塾に行かないで受験してもいい中学校に入れる。
そうおっしゃる親御さんたちが結構いらっしゃいます。
また、小学校の成績はそこそこでも、少子化の昨今、定員割れしている中学校もあるから、理論上は全員入学できるから大丈夫!
そういう方もいらっしゃいます。
でもそれはあくまで「どこでもよければ」という但し書き付きです
ある程度のレベルの学校を求めるのであれば、学校の勉強だけでは絶対に太刀打ちできません。
たとえば、大手塾主催のオープンテストがよくありますよね。
もともと塾に通っている子も多数受けますが、まだ通っていない子に関しては、この時の成績次第で入塾することも出来ます。
つまりこのようなテストを受けると、日本の中学受験を目指す子の中で、自分がどれくらいの立ち位置にいるのかがわかります。
ここで初めて「偏差値」というものに出会う子も多いことでしょう。
そしてほとんどの場合、塾に通っていない親子は
え?!こんなに成績低いの?
という厳しい洗礼を受けることになります。
学校のテストが100点でもオープンテストでは10点とか、偏差値にいたっては30台以下の場合もごく普通にあります。
ではなぜ小学校でそこそこ成績のいい子が、塾に通っている子と比べると大きく劣るのでしょうか?
その答えは単純明快です。
塾では学校で教えていない勉強をしているからです。
それはなぜか。
この答えも単純明快で、
中学受験では、学校で教えていない範囲の問題が出るから、です。
ちょっと違う言い方をすると
中学受験では、学校で教えていない考え方が必要だから
とも言えます。
ですから、学校の成績がどんなに優秀でも、それだけで中学受験に太刀打ちすることはとても難しいのです。
中学受験における「偏差値50」の意味を正しく知っていますか?
高校受験では同学年のほぼ全員から偏差値を割り出しますが、中学受験の偏差値は「中学受験を目指す生徒だけ」から割り出すので、上位者層が圧倒的に多くなります。
ですから、中学受験者層の「偏差値50」は同学年の「偏差値50」よりはるかに上の位置を示します。
高校受験偏差値に換算すると、10~15ポイントアップする、とも言われています。
これを理解しないで、数字だけで大騒ぎする親御さんもいらっしゃいますが、そもそも計る分母が違うことをよく覚えておいてください。
「親が塾代わり」がダメな本当の理由とは?
一番初めに、親が塾代わりの「パパ塾、ママ塾ではダメ」とお伝えしました。
その理由はなぜか。
それを説明する前に、かなりショックなことをお話します。
中学受験を途中で辞める一番大きな理由は?
決して少なくない数の子たちが、中学受験を途中で辞めていきます。
その一番多い理由は、「親が脱落する」ことです。
子どもは意外にタフです。
というか、深く考えずにベルトコンベアに乗っているかのように目の前に出された勉強と闘っていくので、あまり遠くを見てはいません。
親は違います。
こんなに頑張っている我が子が志望校に合格出来なかったらどうしよう
目の前のことよりその先の大きな不安にとらわれて、親の方から中学受験を辞める決断を下してしまうのです。
誰だって我が子が一番大切です。
このままでは第一志望には絶対受からない。
幼い我が子が傷ついてしまう。
その妄想に耐え切れなくなって、親自らが子どもを舞台から引きずり降ろしてしまうのです。
その時、親が子どもにも周りにも言う言い訳は決まっています。
「今のうちから勉強漬けなんてかわいそうだから、伸び伸び遊ばせてあげることにしたの」
明らかに自分への言い訳ですよね。
親の愛が、時には子どもの可能性をつぶしてしまうこともあり得るのです。
親は子どもを客観的に見られない
先ほどもお伝えしましたが、親は我が子を誰よりも愛しています。
その愛ゆえに、子どもを客観的に見ることがとても難しくなります。
みなさんも身に覚えがありませんか?勉強に限らず、我が子のことを「この子天才かも!」と思ったことが。
それはもちろん間違ったことではありません。
親はいつでも世界で一番、我が子の味方であるべきですからね。
しかし、受験となるとそれは別の問題です。
心理的に近すぎると、客観的な関わり方が出来なくなるのです。
この子はもっと出来るはずだからさらに勉強時間を増やさないと!
この子はもっと出来るはずだから本人の努力が足りない!
その結果どうなるでしょうか。
多くの場合、親が子を追い詰め深く傷つけることになります。
親自身も、誰からもサポートを受けられずに孤独に受験と対峙せねばならず、精神的に追い詰められます。
その結果が、先ほどのような親による一方的な中学受験からの離脱です。
その最悪の事態を避けるためには、塾の講師という受験のプロフェッショナルが客観的に関わることがとても重要なのです。
親は勉強面ではなく、心身面のケアでお子さんに寄り添ってあげましょう。
子どもを愛することにかけては、親にかなう人はどこにもいませんからね。
父母の意見の相違
大抵の場合、中学受験というのは父母のどちらか一方だけが熱心です。
もう一人はさして乗り気ではなかったり、もっとひどい場合は足を引っ張ったりするケースもあります。
ただ熱心なだけならいいのですが、自分が高学歴な親の場合、かつての自分と比較して子どもを罵倒しながら勉強させることもあります。
こんな低い偏差値だと○○みたいなバカ学校しかいけないぞ
○○中学に受からないとあなたの人生負け組よ!
必死なあまりについ言ってしまう最低の言葉です。
こういう場合は、見かねたもう一人の親が助けに入り夫婦喧嘩が始まるわけですが、子どもはどちらの意見を聞けばいいのか混乱します。
また、自分のせいで両親が喧嘩しているという現実は、
「自分が勉強しなかったからパパとママが喧嘩している…」
と、子どもが自分を責めることになります。
結果、受験どころか家族崩壊してしまうことも、決してフィクションの世界の出来事ではありません。
【実際にあった悲劇】
私の知人一家はお父さんが超エリートで、幼稚園の頃から息子に勉強を教えていました。
中学受験も塾に行かせず父親がすべて勉強をみていました。毎日定時に帰り息子に心血を注ぎこむ姿に、お母さんは何も言えなかったそうです。(止めようとすると、お前は高卒のバカなんだから黙ってろ、と罵倒されたそうです)
結果、第一志望は不合格、しかし第二志望には合格し、息子さんは楽しく通い始めました。
しかしながら、第一志望を諦めきれない父は、高校受験でリベンジすることを息子に強要。息子は嫌がり、初めて父を拒否。母も息子の味方をしたことで、父は家庭内暴力を振るうように。
結果、母子は家を逃げ出し、離婚となりました。
塾が勉強以外で助けてくれることとは?
親が勉強を見るだけでは中学受験は難しいことはわかりました。
では塾は勉強を見てくれればそれでいいのでしょうか?
そんなことはありません。
そしてその理由こそが「塾が絶対に必要な理由」です。
塾と親と子のトライアングル
先ほどから繰り返しお伝えしているように、親は子どもを客観的に評価出来ません。
しかし多くの生徒を見て指導をしている塾の講師は、すべての生徒を客観的に見ています。
この、親子という間柄に塾講師が入り安定したトライアングルを作ることが、受験勉強の環境作りに大きく役立ちます。
3人が3人、共に相談し合える関係性があれば、親が子どもを、子どもが親を、不必要に責めることはなくなります。
そして、大事なことをお伝えしますが、
受験生の親は孤独です。
普段は仲良しのママ友とも、受験が絡んでくるとお腹を割って話すことが難しくなります。
「うちの子最近成績伸びなくて~」
笑顔でそういうママ友がいたら、それは多分、裏返しの言動です。(本当は成績が上がったことを自慢したいんですよね。あるあるです)
そうなると、本当の心を打ち明けて相談できるのは、子どもの勉強も精神状態も一番理解している塾の講師、となるのです。
信頼できる大人の存在
小学校高学年になると、子どもたちも思春期に入ります。
多感なこの時期は、大人に対して複雑な感情を持ち始める時期です。
精神的に早く大人になる女の子はその傾向が顕著で、特に親に対して反抗するようになります。
皆さんもご自身の思春期を思い起こすと理解できると思いますが、
「何もかも鬱陶しい!!」
そう叫びたくなる年頃がありましたよね。
そういう時期の子どもにとって、実は一番身近な大人は塾の講師になるのです。
あまり語られませんが、実は塾というのは、勉強する場であると同時に、「生活の場」でもあります。
そこは決まった時間に必ず訪れる場所であり、おやつを食べたりお弁当を食べたり友達と談笑したり。
とても多くの時間を過ごす、日常から続いている場なのです。
学校はあくまでも学校であり、生活の場とは違います。
ゆえに、子どもが学校の教師と塾講師に求めることは、自ずと異なってきます。
親には言えない悶々とした感情や勉強の不安などを相談できる塾講師は、子どもにとってかけがえのない「信頼できる大人」なのです。
【実際にあったイイ話】
男の子2人が学校でささいなもめ事から大喧嘩に。先生が間に入ったら「お前がチクったのか?!」とお互いに言い出してもっと悪化してしまいました。
2人は同じ塾に通っていたので、塾に行ってからも超険悪なムード。
すぐに気が付いた塾講師が授業後に2人を残らせて話を聞いてみました。するとそれぞれがポツポツと理由を語りだしました。引っ込みがつかなくなっていただけだった2人は、それぞれの悪かったところを認め、講師の「はい!これでおしましい!」の掛け声で仲直り。
もともと仲の良かった2人なので、それからは一緒に高めあうライバル同士としても良き関係が築け、どちらも志望校に合格しました。
学校の先生に言われたらイラっとする言葉も、生活の延長線上にいる塾講師なら素直に聞くことが出来たのですね。
共に高めあう仲間の存在
先ほどの例でもご紹介しましたが、塾には、共に高めあう仲間たちがいます。
いわゆる「塾友」という存在です。
いくら塾講師や親が「勉強を頑張ろう!」と叫んだところで、子どもたちのやる気スイッチはそう簡単には入りません。
そもそもあまり深く考えずに中学受験という道を歩いている子がほとんどですから、目の前にある数々の誘惑に負ける方が普通です。
そこで出てくるのが「塾友」です。
同じ教室で机を並べて学ぶ仲間たちとの切磋琢磨が、彼らの唯一のやる気スイッチになるのです。
2020年と2021年は、新型コロナウイルスの影響で、多くの授業や模試がオンラインになりました。
そして残念ながら多くの子どもたちがその環境に苦戦することになったのです。
その理由のひとつに、塾の友達に会えないことによるストレスがありました。
また模試では「他の子の鉛筆の音が聞けなくてやる気が出なかった」という声があります。
受験そのものはたったひとりの孤独な戦いです。
でもその戦いを豊かに彩り、お互いに高めあう存在こそが塾友たちなのです。
中学受験の勉強は塾をうまく活用し 親は心に寄り添うべき
今回は以下のことをお伝えしました。
◆学校の成績がよくても中学受験とは別
◆「親が塾代わり」がダメな理由
- 中学受験に耐えられなくなるのは子どもではなく親の方
- 親は子どもを客観的に見られない
- 父母の意見の相違
◆塾の勉強以外の役割
- 親・子・塾講師のトライアングルが人間関係を良好に保つ
- 思春期の子どもにとって塾講師は信頼できる大人
- 共に高めあう仲間の存在
中学受験は親の受験、と言われていますし、実際その通りだと思います。
でも親の役割は勉強を教えることではありません。
我が子が中学受験を通じて、人として成長するためのサポートをすることです。
そして何より大切なのは、子どもの自己肯定感を大事に育ててあげることです。
長い受験生活はいい時ばかりではなく、もちろん暗い谷底を経験することもあるでしょう。
そういう時に、子どもの成績だけを見て否定するのではなく、
「頑張ったあなたを私たちは心から応援しているよ」
と励まし寄り添い、そっと背中を押してあげるのが親の役目です。
子どもと一緒にひとつの目標に向かって走るのは中学受験が最後です。
「精いっぱいやりきった!」と親子で笑顔で終えられるのが、最高の中学受験だと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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